０７８：私は今、人を愛していない 19891127,1206,09,10
(250) アパートの外装修理の作業がうるさい。猫が出入りするのを見咎められないかと心配しているのだが、修理請負の人は「でっかい猫飼ってんなあ」と、塗装用シートカバーを破って出入りしている穴を見て言っている。まるまるばれている。うーむ。(19891127)（※）

(251) パスポート申請に有楽町へ。その後、外苑を歩き、日比谷公園を散策する。あそこで猫に牛乳と餌をやっていた女性。逆行の中の大噴水。外人が多い。常緑樹とビルのコントラスト。黄のイチョウが地面に散る様。傾く陽。警官同士の、少し野卑な口調の会話。(19891206)

(252) 「無間地獄」とは、意識の波頭であるこの瞬間瞬間を、今ここに生きる喜びの対偶である。常に今でないいつか、ここでないどこかに生きようとして、全てを台無しにしつつ、それから逃れるすべを見出せぬ生命スピン。(19891209)

(253) 私は今、人を愛していない (19891210)

私は今、人を愛していない。
愛さねば、と自らを強いている。
愛さねばならぬことはない、と知っている。
愛したいと望んでいる自分を知っている。
しかしそれはそれでいいのだ。
愛していないなら、愛していないのだ。
愛さねば、も愛したい、もそれはそれ。
それでも私は知っている。
それでも私は愛していることを。
問題は私、だ。
愛している状態は、実感で分かる。
私は「私」に意識をシフトしたい。

（※）この開いた日記帳のページに、猫の泥足スタンプが残っていた。今はもう他界しているかもしれないあの猫たちが、確かに存在していたという、化石のような証拠だ。(20010211)