帰省する途中の電車の中。京浜急行、夕方のラッシュ時。私の背後で中年サラリーマン２人の会話が聞こえて来る。私はそれを聞くともなく聞いている。

「…隣の女の子が、これがまたおしゃまでねえ。良く家に遊びに来るんだけど、私と 家内が喧嘩なんかしてたりするでしょ、そうすると悲しそうな顔して見てるんだよ ね。で、『○○ちゃんちじゃ、パパとママは喧嘩しないの？』と聞いたんだよね。 そうしたら『うん、パパとママはしないの。でもパパとおばあちゃんがするの。』 だって。『そんな時ママはどうしてるの？』って聞いたら『あんまり喧嘩が長くなると、良い加減にしてよって泣くの』って言うんだ。『じゃあ○○ちゃんは何してるの？』 って聞くと『○○も一緒に泣くの』だってさ。何だかんだ言ってもやっぽり五つか六つの女の子なんだねえ。生意気言っててもやっぱりかわいいもんだ。」
「ははは、本当、かわいいもんだ。」

(182) 欠点

欠点があるがゆえに愛したい
欠点がなければ愛されなくてもいいはずだ
なのに欠点があるがゆえに愛さないなんて
愛されようと欠点を隠す事はない
愛されようと欠点を克服する事は尊い
愛される必要がなくなるほど尊い
しかも愛される事すらもできるなんて
欠点を欠点と認める事
欠点を欠点と気づく事
愛するとは欠点すら愛する事
愛されるとは愛する事を学ぶ事
…ああしかし愛するのに言葉は要らない
言葉にするために観念に堕する愛のなんと多き事よ
そして私は口を閉じる
閉じる必要すらなく愛す事ができるまで