(110) 見えぬものを見よ

成熟より早熟を好み
早熟より未熟に美を見る者よ
つぼみの内に完璧なる開花を見る者よ
一粒の砂の中に全世界を見る視座へ
その視点から続く道がある
ただしそれは安易な一本道ではない
トラップだらけの茨の道だ
自らの罠、他者の罠、幻の罠に係わらず
くっきりとただ自分に真面に迫れ

(111) 鏡

一切の視覚機器は鏡である
鏡は光子の速度を超えられない
光子の速度は時間の速度である
末見の未来を覗けるのは想像である
想像は過去のリフォームである
解析度の悪いホログラムである

科学と宗教　左脳と右脳
過去と未来　構造と状態
知と愛　男と女　夢と現
‥みんな還ろう　ひとつに還ろう
元来た道を辿るのではなくて
ぐるりと世界を一巡りして還ろう
‥本当にひとつだったんだ

(112) 結婚

(電車の中に結婚式場の広告があった)
結婚とは自然で神聖なものだろう
結婚式というと社会が入って来る
結婚式場というと経済が忍び込んで来る
結婚式場選びというと世間体が自我と手を組む

直球をカ一杯投げ込め
直球があって変化球が生きる

結婚式場選びをあるがままに任せ
結婚式場を持てる物だけで賄い
結婚式を心のままの挨拶とし
結婚をただ喜びの中に受入れ
結婚という言葉の意味そのものになれ
「ともに」から「ひとつ」に
ひとつから有無を超えて…

直球を打たれたら諦めがつく
ゲームに負けたから人生に負けたわけじゃない