「知ってはいるがそれを説明する事はできない。説明はあくまで説明であり、おまえ自身が悟らねばならないものとは本質的に異なる。それは自分自身で気づくしかないものなのだ。」と言う聖者、賢者。もちろん質問した者のレべル自体を諌め、改められるような応答（時には無答ですらある）ではあるが、私は今やそれには物足りない気がする。

　彼らはそう答えるのが、質問者の為に一番良いと考えているから、そう答えているのだろう。しかしそうとしか言えないのであればそれは可笑しいし、そうであっても良いのなら、もっと別の答えがあっても良いという事だ。彼らを一切非難するつもりはない。それはそれである。しかし彼らはちょっと(もしくはとてつもなく)口下手であり、説明も舌足らずなのだ。もちろん質問する者の意識にもよるが、それでもやはりそう答えた時の方法論は、もっと改良しても良い余地が常にある。

　なぜなら自らもそのような舌足らずな説明を師匠・先哲はもちろん、大自然の森羅万象から受けて、階型の上位に駆け登ったのであるから。もしそうでなければ「悟る」とはただの縁・外界の偶然に左右される(とも取れる)ブラウン現象となってしまう。自らその縁を引き寄せ、引き受けて、偶然を必然へとその存在確率を上げるのが、人間であり生命であるとも言えるだろう。

（９７）詠い踊れ、今ここで

時は今
詠え、詠え、永遠の今を
決して来ない明日を
決して戻れぬ昨日を
現を夢見る現の夢を
明日は決して来ない
常にここに在るがゆえに
昨日は決して行かない
常にここに在るがゆえに
行き来する時空の距離はない
日覚めれば目覚めるほど
眠りの深さを思い知る
夢見れば夢見るほど
現の広さを見せ付けられる
夢見る現の夢の現を
踊れ、踊れ、無限のここで
所はここ