もしカルマのコンテクストに沿って、「また転生するか、金輪際転生しないかのどちらを選択する？」と問われたら、「私はまた生れて来て、人々と共に未来を生きたいものだ。」と答えるだろう。それには先ず私が変容する事。全き我と成る事。その為にまた途中から悩み苦しみ生きるのだとしても、私はそれを喜んで受入れよう。それゆえの苦しみ悩みであるとすれば、それもまた自ら選んだ楽しく喜ばしい事ではないか。そしてもしそうであろうとなかろうと、その肯定的な生き様は残る。そして「もし…」は消え、「ＹＥＳ！」が残る。自由意志は残り、カルマはない。

（３）桜の下のいがみあい

　あまりに良い天気なので、今日は込み合う井の頭公園を避けて、電車に乗って小金井公園まで桜を見に行った。そこには街中とは異質の雑踏があった。そして行く手には、何やら騒がしい人だかり。道ばたで中年男性二人が口論している。すぐそばには倒れた自転車が２台。どうやら自転車同士がぶつかった事が原因らしい。もっぱら片方が激していて、もう―人は受け流そうと躍起だった。自転車がぶつかったと言う、ただそれだけの事で激しく逆上し、時間とエネルギーを無駄に使っている。おそらくそのエネルギーは出口を求めていたのだろう。それを昇華させる術を知らない人々。気づいてすらいない人々。もう―人の方もただ一言「私が悪かった、申し訳ない」と言えば良いのに…。別に彼が良くても悪くても、そんなにたいした問題ではないだろう。それが自我ゆえに言えない。 私はちょっと見物してから、その場を離れた。ふと目をそらすと、満開の桜がはらはらとその花を散らしていた。おやおや、勝者は桜かなと思った。桜は勝負なぞしやしないのだけれど。

（４）不審尋問とリラックス伝達

　未明、デ二―ズから帰る途中、警察官に不審尋問された。、どこへ行くのかと問われ、バッグパックの中味を尋ねられた。何やら警戒態勢中らしい。別に不審に思われようがどうしようが何でもないし、言われる通りバッグの中を見せたからといって、何も屈辱されたとは感じられない。
　それより面白かったのは、素直に応じれば素直に接し返すと言う、人間の本性が実感されたという事だ。リラックスしていれば、人間はその人なりに穏やかで優しい。そしてその波動は正常な者であれば、確かに直接伝わるという事。千差万別で一つとして同じ顔がないのに、その上に現れる喜怒哀楽が分かるという事の素晴らしさ。そしてそれが当り前だと思われている事の不思議。私はただ空っぽでくつろいでいれば良いのだ。それは確かに伝わる。障害があるのはエゴの重力に歪められた他者だ。
　家宅捜査されようが、人権侵害されようが別に失う物は何もないし、隠す物も別にない。そこにある流れに逆らわず、巻き込まれず生きる。そこで万が一傷付けられ、殺されたとしてもそれはそれ、それだけの事だ。しかも同時にそれほどの事なのだ。あきらめでも、やけくそでも、成り行きまかせですらもなく。