 「私とは何だろう？」普通の人が突然、全く別の宇宙人（的存在）に人格を乗っ取られてしまう「ウォークイン」。生まれた時から周囲と馴染め切れず、ずっと自分は別の存在（別の星に魂のルーツを持つ宇宙人など）だと思っていた、もしくは突然その事を思い出す「ワンダラー」。いずれにしてもその個人的歴史には、多かれ少なかれ悲劇的痕跡がある。そしてそれゆえに生じた現象であるとも見て取れる。（もちろんそれを起こすべくプログラムされた人生であるという見方もできる。）しかし共にそんな事がどちらでもＯＫの世界観に到達するまでは、良くも悪くもまわりを巻き込んでいく。
「あの人、宇宙人が入っている」という表現は流行語的に用いられていて、尊敬や羨望や侮蔑など自分達とは異なるという意味合いで使われやすい。人間でも中途半端な者が多いが、真の宇宙人（そのような文脈で言えばだが）は、真の人間とほとんど区別がつかない。真の宇宙人は人間でない事がバレないように細心の注意をしている。そして偽者は本物のすぐそばにいる。見る目のある者にはバレバレなのに、当人だけは気がついていないというたちの悪さを備えつつ。当人が否定すれば本物。肯定すれば偽者。何も答えなければ要チェック。
今の自分のルーツの星は…という発想法自体は、ずっと古くからある自分の魂のアイデンティティを求める時のケースの、そう珍しくないバリエーションに過ぎない事を忘れずに。時間がくればいやでも分かるはずなので、先走ってエセ宇宙人する前に、まずはしっかり人間しよう。そして他人のそれらしい言葉に安直に騙されないよう、物事を見極める健全な精神の姿勢を培おう。例えば私の言っている事だって、その疑うべき戯言の一つかもしれないのだ。「自主的になれ」と人に言われて自主的になったら、それは自主的でばない？そこに時間の要素が導入されると、矛盾は矛盾ではなくなる。次元の多重構造の中では、不要なものはない。パラドクスにであったら、まずは喜ぼう。そしてその中心を突き抜けたところに未来がある。
２０１３のジグソーパズル(６−２)/1998
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