コミュニケーションは論理の整合性や話の合理性があればうまくいくというものでないことを、私たちは経験からもよく知っている。また逆に感情に飲み込まれて、共感しているつもりで付和雷同的な情動に流されてとんでもない方向に話が進むということもないことはない。そこで私は数理の王国の言葉を用いてコミュニケートする努力をしてみようかと思う。
どんなに感情的になっても、また論理でガチガチであっても、３は３であり３６５は３６５である。数を用いるのもまたひとりよがりである。しかしそこに信頼と誠実があれば、コミュニケーションとは幻想であるという中途半端な思い込みを超えて、世界を共有することができると信じてそれを行おう。幻想の共有ではなく、空間の共有を、そして時間の共有を。
私は惑星周期や正多面体やマヤ暦やピアノやパラドクスなどさまざまなジャンルを扱うが、天文学や立体幾何学や暦学や音響理論や論理学などの知識を増やすのが目的では決してない。自分と自分を取り巻く世界との関係を見直すために、視座と発想を少しだけずらすこと。自分自身の世界観を自己チェックし、異なる世界観を通しても世界を見るという作業をしてもいいのだということを確認するために、いくつかの王国を覗き見るのである。
異なるそれらの王国の中に同じ構造やトーンを見出すことができるだろうか。私はそれらの王国をつなぐための、私の内なる共通言語として数を用いて眺めていこうと思う。ひとりよがりの王国のひとりよがりの方法を用いて、それでもその目的がひとりよがりでないことを信じながら。孤独・敵対・不信・悲哀・無力感などを信頼・協力・歓喜・創造・活力・慈愛へと変えていくものを、より良いコミュニケーションと呼ぶのであろう。
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