0174night

19870916　自己タイマー

　意識がある事をしようと考えていると、後でその事を意識していなくても、無意識のうちにそれを成しているのに気付く事がある。例えばテレビを見ながら、後で本棚の上の箱を降ろして中を調べようと考え、その後テレビの内容に心を奪われていたのだが、ＣＭになって無意識のまま箱を手にしている自分に気が付くというような事。｢彼」はこのような事を自己タイマーと表現している。

　この自己タイマーは、寝入る前に明日起きなくてはならない時刻を確認する事により、その時間直前に実際に目が醒め、目覚ましが鳴り出す前にそのセットを解除するようなケースも入るだろう。(もちろん起床時間に必然性がなかったり、極度に疲労していたりすると、その自己タイマーは利かない事がある。そういう時は目覚まし時計をバックアップするに限る。）ついでに時間感覚で言えば、目が醒めて目を開ける前に大体何時間ぐらい眠ったから今何時頃だろうと考えつつ時計を見ると、(少なくとも体調の良い時は)その誤差は少ない。

　これは催眠術の後催眠暗示とその結果に良く似ている。ただし実行時に前者はその暗示を掛けられた事を覚えていないが、後者はいわゆる自己タイマーを掛けた事を思い出す事ができるという点が違う。後者は正確度・達成度において前者よりかなり劣るが、何らかの努力によってその精度向上は可能であろう。

　この２者の違いは変容意識状態を薬物や科学機器等の外部要因によって成すか、瞑想やヨガ等の内的要因によって成すかの違いに似ている。前者は物質から精神への働き掛け、即ち向精神性物質投与などによる結果としてのＡＳＣであるが、後者は精神による物質の摘出、即ち能動的意識変容の結果として脳内等に向精神性物質が発見される。この事は色心不二の相補性であると共に、自己の未来に対する受動的(依存的)選択か能動的選択であるかの違いでもあると言える。いずれにせよ少なくとも覚醒／睡眠を貫いた意識の存在が想定される事に間違いはないであろう。

吉祥寺百景（０７５）19870916