（０１５０）感じ、感じ、感じ…夢は言語以前だ

19870223　たくさんの夢を見た

　数人ずつの男女が深夜、通りすがりの宿に車で着く。その後「彼」は男女―人ずつくじのような形式で部屋に入ることになっていると知り、驚きと不安と期待の交錯した気分になる。女の子の一人が「楽しみだね」と言う。その時「彼」が感じたものは言語では表現できない。この胸にときめくような、また痛むような感じだけがそのしるしだ。

　教室が寮のようになっていて、そこで眠っていると教師の一人が「彼」の日記を取り上げて読む。そして「彼」に共に家に行こうと言う。それは退学を意味する。「彼」は何ら恥じることなく応じる。靴を忘れて教室に戻るとクラスメイトがさわめいている。女生徒が泣き出しそうな顔をしているので体を叩いて「また遊びに来るよ」と言う。その時の彼女の表情と手に残った少しふっくらとした体の感じ。

　Ｋをおぶって家に送る途中、空を見上けると美しい雲が上空をぐんぐん流れていた。ガメラ型の雲が流れているなと思って見ていると向きを変えてすぐ傍に落ちてくる。それは分裂増殖して町に溢れ、邪悪な空気を垂れ流した。「彼」は夢の中のあの焦っても早く走れない感覚のままＫとはぐれ、化物に満ちた地下道の階段で狂人の真似をして「けけけ」と笑う。幾度もＫをおぶっては重くて潰れてしまったあの時の彼女への感じ。

　感じ、感じ、感じ。夢は言語以前だ。言語化することにより階型がいくつも落ちてしまう。しかしそれでも書き残しておきたいこの感情！

吉祥寺百景（０５１）19870223