半田有正さんが作った異次元突入の機械を実験してみることになった。「彼」は発明者たちと共にその機械の前に座った。ある振動が伝わってきて、機械の上に火花が散った。「彼」はさほど信じていなかったのだが、みんなの真似をして目を閉じた。しばらくして少しずつ目を開けてみると、そこは現実世界のベッドの中だった。ああそうか、確かにここもある意味で異次元だ。だからあの機械もあながちいんちきではなかったわけだと「彼」は思った。そして様々な夢を思い返しているうちに、そこもまた夢の中とつながっているのに気づいた。今度こそ目を覚まそうとして起き上がると、最近よく来る野良猫（ポン、チイ、カンのうちのチイ)が戸を開けて入り込んで机の上で眠っていた。「彼」に気付くと慌てて飛出して行き、網戸を外して走り去った。 (19861124) 晩秋の公園 土の上に落ち葉が積もって絨毯のようになっている。ところによって吹き溜まり、山のように漏り上がっている。私立中学の女の子たちだろう。｢雪の中で遊んでるみたいだね｣とはしゃぎながら、落ち葉を蹴り合って遊んでいるのが、心地よく可愛いらしい。可愛いと感じる心の中にこそ、可愛いと思わせるものがある。このようにあらゆるものを愛しいと感じながら眺めていると「彼」はもうずっと永遠に秋の公園のベンチに座り続けているような気がしてきていた。 吉祥寺百景（０３４）19861115,19861124 |
(19861115) 夢の記録