 心の中で取り返しが効かない自分の心無き過去の思い出に苛まれながらも、そこから逃げずに今何ができるかとずっと考え続けていった時、私の心の中で大きな反転が起こった。限界まで行ったことによる、内的反転と浄化。嵐のような至福感と共に、すべては完璧であるという確信が心身を駆け巡った。そして彼や今までに巡り合ってくれた人々に対する感謝と信頼と敬愛を、今この瞬間からの自分の生き様で示していこうと決意した。
「あの時、あそこにいてくれてありがとう。おかげで今の私はこのように生きている。何も否定するものはない。今の彼や同じように接してしまった人たちの幸せと健康を願うのはもちろん、願わくば時空を超えて私と接して記憶を立ち起してくれた時へと、私の感謝のエネルギーが届くようにと祈っています。そしてそれは必ず到達する。」
その時の胸焦がす生命振動にしたがって生きた記憶も、その後にまたそれを忘れ去り人間として胸を張れない生き方を繰り返した記憶も、繰り返し想起されるたびに色合いを変え、それぞれの部分を増幅や消去しながら変質してきている。その時の生命ベクトルと記憶に対する姿勢によって、その都度書き換えが起こるのだ。だからこそ書き換えを能動的、肯定的になそうとする普段からの姿勢をキープしよう。記憶のみならず、いずれ記憶となるこの瞬間の草々や、まだ見ぬ未来の記憶の逆反射である予感や予測に対しても、良き意味へと書きかえる意志をできるだけ保とう。
もはや現在、この地上に物理的には存在していない生命や物質に対する取り返しのつかない記憶に対して、唯一の取り返しとはその意味をよりポジティブに書き換えて、これからの生きるエネルギーにするということなのだ。自分だけの心の安静のためにではなく、ただ世界や人類のためにという破壊的自己放棄のためにでもなく、自と他、内と外、過去と未来、喜びと悲しみなどがすべてひとつであるという認識と実感と、そのさらに先へむかうために。
非・人非人日記(１７)20001129replaced
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