（７４）ピラミッドの力

　１９７２年、２０年の研究の末私は最初の本『ピラミッドパワー』を出版した。この本は大人気を博し、約百五十万部が売れた。注目すべきアメリカの意識の変革を生み出し、ニューエイジ運動の流れの触媒になったこの本は、思い起こせば私にとっても特筆すべきものであった。

　『ピラミッドパワー』はライフ・エネルギー、及びエジプトの大ピラミッドと関連する現象との関係の神秘についてのものである。エジプトの大ピラミッドの幾何学に関して言われている中で最も重要な事の１つは、その角度が生命と関連するエネルギーを創りだし、またエネルギーを焦点集中する共振構造を創っているという事である。そしてまたそれらのエネルギーは、可視光線の限界帯域である１０マイクロメーターのあたりの高周波帯域に存在している。

　私がピラミッドパワーを出版するほんの少し前、チェコスロバキアのカール・ダーブルがスティロフォーム・ピラミッドモデルの特許を取り、「カミソリの刃の再生器」としてそれを売り出した。彼の特許は、この装置は宇宙のマイクロ波の共鳴器であると主張している。

　カレルは、もしその装置の中にカミソリの刃を入れ続けるならば、その刃は何百回でも使用する事が可能であるという事を発見した。この装置の効果の証拠として、彼はヨーロッパでこの装置を多数売り、彼の特許のピラミッドを検証した特許試験官は、通常では３～４回しか使えないカミソリが２００回も使用できるという事を確かめた。

　カレルの理論はこのピラミッドが宇宙の（エーテルの？）マイクロ波をカミソリの刃の鉄に集め、その結果このエネルギーはこの刃の結晶構造の中に捕らえられた水分子のスピンを加速して刃先を鋭く保ち、鉄が錆びるよりも早くそれを追い出すというものだ。彼はまたこのピラミッドには刃先の結晶構造を修復する能力があると推測した。

　１９６９年、合衆国原子力委員会、スミソニアン協会、そしてカイロのアインシャム大学が協力して、深宇宙からくる自然の宇宙線からＸ線までを用いて、大ピラミッドの隠された部屋を発見しようと試みたという事を忘れてはならない。ご存じかも知れないが、本当の宇宙線は物理的物質を貫通してしまう。この特性を用いてこの計画に携わっている科学者は精密な装置を用いる事によって、発見された宇宙線の量の変化のある場所を突き止める事ができ、その結果隠された部屋を発見できるのではないかと期待していた。しかしながら科学者たちが毎日読み取るデータは、良く知られた物理法則に反する様々な間違った形のものばかりだった。結局この計画は中止され、この科学者たちの主要人物の１人は奇妙な見えない力が働いていると公式に声明した。

１９８３年ゲールと私は有史以来、ギザの大ピラミッドの中で結婚した最初の人間となった。

　１９７６年、私はフロリダ大学教授のヒル・カラハン博士と会見した。カラハン博士は昆虫が赤外線のレーザー光で情報交換しているという事を発見したエネルギーの専門家である。全ての生命システムにおける内的エネルギーの制御機構は、レーザー光のような光の延長線上のものと同一視される、位相のそろった光によって制御され増大されているのではないかと彼は仮定した。

　この理論の裏付けとして、「情報理論」を研究した科学者たちは、細胞分裂は明らかにＤＮＡのみの化学的相互作用によって生み出されるもの以上に、重要な高域雑音比の信号が必要とされており、また正常な電気－化学的神経パルスは細胞間をつなぐ莫大な量の情報を処理しきれず、人間の体の中を走る神経の刺激速度に追いつかない事を理解している。（音楽の巨匠の動きはしばしば、中央神経構造の限界速度を超えた演奏として現れている。）

　生物から発信されたコーヒーレントな（位相の揃った）光の信号を探知する事が可能な、「第４次変換型赤外線分光計」をカラハン博士は開発した。私はカラハン博士の研究所を訪問し、この装置を作動させる幸運に巡り会えた。カラハン博士の装置でピラミッドとセンサーＲⅢをテストした時、我々はこの装置が探知のために調整したコーヒーレントな光のエネルギーに明らかによく似たエネルギーを、これらが途切れなく発しているという事をそこに見いだした。この事は私とゲールにとって、ピラミッドとセンサーは自然なレーザーもしくはメーザーの増幅器──それは宇宙がプラナ（それは可視光線に極似し、エネルギーに満ちている）を創りだすための源初的技術を用いる──であるという事を意味した。

　この可視光線とプラナ的生命力エネルギーの間の相似性は、通常の実験装置では直接検出できないエネルギーの位相を持つ物理的宇宙を論証している。そしてこのエネルギー位相の１局面は物理的光と直接関係があるが、しかしながら我々の目からは永久に隠されたままであり続けるのだろう。「なぜ脳の中心にある松果体は、目の中の受光体細胞とほとんど同一視されているのだろう？」

　我々が特別に興味を持つのは、カラハン博士が発見した、人間の吐く息が成すＯＭという言葉もまた、コーヒーレントな光のエネルギーと同じ種類のものを創り出すという事実である。彼が分光計のレーザー光路捜査帯にＯＭという言葉を唱えると、それは明確でコーヒーレントなレーザーエネルギーを創出した。このエネルギーはただＯＭのみから生じたのだ。他のいかなる音も同じ効果を生まないと知られている。

　呼吸によって創られるコーヒーレントな光のエネルギーは、ＯＭの音によって器官の分子が励振した結果である、とカラハン博士は理論化した。これらの励振した分子は、レーザー光発生機の類いによって発せられる光と区別できない、不可視でコーヒーレントな遠赤外線を発する。カラハン博士はまた、これらのレーザー信号が瞑想者の肌の特別なセンサーで検知されると、これらの光信号の共振によって脳内や肉体の化学的状態が変容し、エンドルフィンや他の脳内物質が発せられるという事も理論化した。この事は人間がマントラを正確に唱えると、意識が変容する事の１つの理由であろう。これらのコーヒーレントな光の信号は、他の人々に影響を与える力があるのかもしれないという事はとても興味深い。おそらくこの事が、多くの人と共に祈りを唱えると経験の力が増大する能力を得るように感じる理由だろう。

あれこれと比較してみると、我々の特別なセンサーＲⅢペンダントはＯＭの唱詠と同じレーザー信号を創出している。カラハン博士はこのセンサーはＯＭ発生機であると言ってる。

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