（３８）ヘブライ語

　ヘブライ語は普遍的マインドとエネルギー的／振動波的に直接関連していると信じられているので、西洋の神秘主義の学校では広く用いられている。しかしヘブライ語がおそらく言われているような全ての力を持っているとしても、正しい発音つまり正しいエネルギー／振動通りにする事は、基本的に教師がマンツーマンで修行を指導してくれるにもかかわらず難しいという事を多くの生徒は知っている。

　このことに関係するのだが、「エノクの鍵」の著者であるハートック博士は、多くの人が言語用法とは時として全く異なるようなヘブライ語の語句の発音を開発した。その違いとは、師エノクにそれらの語句の本源的で正しい発音を指導してもらったとハートック博士が主張しているものと、師エノクが地上を歩いていた太古の時代からはいくらか変化してしまっている現代のヘブライ語との間のものである。

　このことはある人が研究者のグループ間を移動した場合にわずかな混乱を生じる。そして多くの人はユダヤ人が我々の幾人かがユダヤ語を用いている事を知ると、驚き、当惑し、面白がり、時には怒り出す。伝統的なヘブライ語とエノクに基づいた意味のないハートック博士のものとの違いの一つは、ヘブライ文字のＹの発音においてヘブライ語では「Ｙｕｄ」と、エノクのものでは「Ｙｏｄ」と発音する事である。そして私の知る限りにおいては、正統派のユダヤ人はヤハウェもしくはＹＨＷＨと声にする事はなく、それを口にするのは不道徳な事であると考えられている。知る限りにおいてユダヤ人は神の事をエロヒム、エロヒム・アドナイ、ゴッドと言う。

　アドナイという言葉を発音する時、ハートック博士のエノクが基礎になっている発音は主流のものとは異なっている。英語でこのつづりを発音するのは、舌使いがたやすいうえに心地よい響きを生む言葉である。しかし本来のヘブライ語の発音ではそのようにはいかない。その代わり全ての母音はアードーナーイーと強勢される。聖なるマントラであるコダイシュ、コダイシュ、コダイシュ、アドナイ、ツェバヨスの発音は、さらに一般的にコドシュ、コドシュ、コドシュ、アードーノーイー、サバヨットという発音が受け入れられている。

　この論議を閉じるに当たって、私はただ次の事を言いたい。多くの人にとって言葉の指導なくヘブライ語を学ぼうとする事はむしろ逆効果になりやすいので、我々はＯｍ，Ｈｕｍ，Ａｈ，Ｒａｍ等の母音に基づいたサンスクリット語の母音や「根本の文節」のように、たやすく学べる音と語句に忠実であればよいという事を私は示唆して置こう。ネイティヴアメリカンをも含む世界中のシャーマン的な伝統は、その多くを彼らの詠唱の母音に基づいているという事もまた興味深い。