（３０）意識の乗り物としての心

魔術・神秘主義・呪術の教室のほとんどは３つの基本的な意識レベルについての概念を共有している。

心の超意識、もしくはハイアーセルフ。
心の通常意識、もしくはミドルセルフ。
心の無意識、もしくはロウアーセルフ。

　超意識の心は普遍的意識とモナドの一局面であり「霊体」である。魂、キリスト的上位意識、そしてハイアーセルフは超意識の一面である。

　通常意識の心はミドルセルフである。それは自己を省みる分析的な心、もしくはエゴである。通常意識は超意識や無意識よりも情報を処理する能力が劣っている。潜在意識はミドルセルフの一面であり、より深いところに存在すると考えられている。

　ロウアーセルフは無意識の心である。しかしそれはただの無意識ではない。通常意識と比較すると、ロウアーセルフは多量のエネルギーと情報を自動的に処理する超意識である。最初の３つのチャクラは意志、顕現力、原初的で創造的なクンダリーニの生命力との連結という、ロウアーセルフのスピリチュアルな意識で構成されている。心理学者が潜在意識として言及するものは、意識と無意識の間をつなぐレベルに存在する。

　既成の型にはまった心理学者たちは、無意識の心が通常意識より多量の情報を処理している事や、無意識のプログラムが人間の素行やパーソナリティの要因の下にあるという事を理解している、形而上学的なスクールの信念を繰り返している。形而上学的なスクールではこの概念をさらに広げ、無意識の心は意志と顕現力を制御するので、スピリチュアルな贈り物にアクセスする我々の能力に重要な役割を演じていると理解している。

　無意識の心は我々のプログラムを動かすコンピューターと比較する事ができる。我々は無意識の心に蓄えられたプログラムによってリアリティを創り出している。それらのプログラムは我々のパーソナリティと心の内面構造の両方から成っている。それらは私たちがそれに気づいていようといなかろうと、我々が考え、行動し、意志表示をする時にいつも口を挟む沈黙のパートナーである。だからそのような事が実際に起こっており、通常意識と無意識の間のつながりを強化しようと働き始めている事を我々が理解する事は重要である。

　心理学者と神秘主義者は、発言のパターンとは無意識のプログラムの反映であると観察している。また言語を特別な形で用いれば、我々は無意識のプログラムを変えられるという事も確かめられている。これはマントラ、祈願、催眠術、神経言語プログラムの背後にある根本の原理である。言語はリアリティの構造なのである。

　否定的な思考パターン及びエネルギーとの固着から自由になるために、我々は自らの思考をクリーンにしなくてはならない。否定的で好ましくない思考形態を超越するためには、まず自らの思考を捉えて、それをどのように感じるかに気づき、どちらが肯定的でどちらが否定的であるかを知るために自らの思考を分析すればよい。次のステップは否定的なプログラムを生み出し増幅する事のないように、自分の思考と言動を意識的に改善していく事である。

　形而上学やアセンション・ヨガの学習は、肉体とエーテル体の中を流れる神経パルスや精神エネルギーの流れをブロックする歪みとしての犯罪、罪の意識、恐れのような否定的な心のコンプレックスについて考える助けになる。

　この主題を考えると、それぞれの人が多重次元の存在であると認識する事が重要になってくる。またこの事から否定的な心のコンプレックス自体も多重次元であると理解されなくてはならない。それらは神経組織も含む肉体、筋肉、骨組織、そして各器官のいかなる場所にも存在しうる。否定的な心のコンプレックスは宿命的であり、それゆえにそれらはコーザル体（感情体もしくはカルマ的なボディとして知られている）に影響を与えるのである。