（０８）リアリティの構造としての言語

　形而上哲学の全ての学校を通して編まれている糸は「ロゴス」の概念である。ロゴスという言葉は普遍的なマインドの創造的な力を表している。この言葉は古代ギリシア語から来ており、文学的意味でのロゴスは「言葉」を表す。「言葉」の力、もしくは言語は、あらゆる哲学と霊性の学校において、いかなる個人でも理解できる究極の概念として認識されている。なぜなら全ての人の心中の個人的な意識の場にあるものは全て、自意識もしくは言語の内的対話として表れるからである。

　形而上学者・神秘主義者・魔術師・呪術師が言語の関係を全て包含する意識を必要とする第一の理由は、全ての個人が普遍的なマインドと調和するのに、言語を介して成されるからである。言語をコントロールするという事はリアリティをコントロールするという事なのだ。私は語る、それゆえに私は在る。言語を用いる事の理解を通してのリアリティ／経験のコントロールはただ舞台でのみ学ばされる大きな主題である。この見地から言えば、意識そのもののリアリティについての瞑想は十分特別な訓練であると言える。我々全てのそれぞれの内にある「我在り」が、より大きな宇宙としての「我在り」の一面であるという事に気づく事は、とても力づけられる。そして我々の存在はすべて宇宙の一部なのだ。全ては一つ！

　形而上哲学の基本原理は、無限宇宙の分離できない様相のように、全ての人間がいかなるものにも限定される必要がなく、ただ我々に制限が存在するのは、自然のリアリティについての間違った信仰を持って自らを制限してしまっているからだという事である。研究者がこれを乗り越えるには、社会適応訓練によって受け入れている多くの「問題」を消し去らねばならない。そして彼らはそれに付け加えたいリアリティのイメージを持つ言語への新しい道を見出さなくてはならない。この点から私は、現代アメリカ人にとってリアリティを想像し直す最高の技術は、神経言語プログラムの様々な学校における技術であると思っている。（私は特にテッド・ジェイムスの進歩的な神経力学・ニューロダイナミクス(※)に親しみを感じている。なぜなら彼もまたハワイのシャーマニズムの研究仲間であるからである。）

（※）問い合わせ先、Neuro Dynamics Inc.1833 Kalakua Ave. #908 Honolulu,Hawaii 96815

　マインドは言語と分かちがたい概念である。マインドは言語を介して表現する。そしてマインドは言語なしには自分自身に気づく事ができないのだ。

　しかし言語はそれが我々のマインドの中に現れるように、閉じられた対話の領域である。言語は人間が気づく事ができる総ての概念を内包する。世俗的なものも、スピリチュアルなものも、超越的なものもである。従って言語は多次元的とも言われるような非常に広い定義を持っているという事を、我々は理解しなくてはならない。

　この事からも明らかなように、あらゆる形態のエネルギーも情報を含んでおり、それゆえに言語はエネルギーであるという事を我々は知らねばならない。宇宙を形成しているエネルギーの構造は、宇宙全体の基本的エネルギーの力が刻印されている数学と幾何学の言語で表現する事ができる。これは神の心の精神構造である。

　形而上学の応用において、研究者は全てのものがエネルギーであり、我々の宇宙と心を創っている根本エネルギーが万物と連結している事を理解する必要がある。この事の正しさを我々はアインシュタイン教授の研究と量子物理学の理論の中に見る事ができる。そして全てのエネルギーが情報を含んでいるので、我々はエネルギーそのものも言語の一形態であると見る事ができるのだ。アインシュタインは宇宙がエネルギーの「統一場」であると正しく理論化した。この事をもう少し押し進めて、形而上学のスクールでは宇宙そのものが普遍的なマインドであると語っている。これは宇宙そのものが自らに気づいていて、自らをエネルギー、形、そして生命の中の気づきとして表現している存在であるという事実を意味している。

　古典的な教えでは、普遍的なマインドは万物を創造するものである言語の中に自らを表すと語られている。これをより深く考えると、我々は「初めに言葉在りき。言葉は神と共にありき。言葉は神なりき。」という新約聖書の中の聖ヨハネの言葉を想起させられる。さらに言えば世界（ｗｏｒｌｄ）という単語そのものも言葉（ｗｏｒｄ）から来ているのではないだろうか？存在するものは全て言葉である。

　突き詰めて考えれば、我々の意識における言葉の対話をコントロールする事は、我々の知覚するリアリティをコントロールする事である。なぜならそれぞれの個人的な意識存在は、実際に各々の心の中に自分自身の宇宙を創るからだ。全ての人が知覚するもののみを知る。つまり知覚される全てのものは、心の中で言葉として存在するという事を知る必要があるのだ。言語は知覚を伝達するものである。これはとても深遠な意味を含んでいる。全ての偉大なる哲学者、科学者、予見者、神秘主義者、そして魔術師はこの事を知っており、それぞれのやり方で仕事をしている。言語／知覚の等価性は万物の鍵である。

　この論議（もしくはこのような事全て）を理解するために最も重要な概念は、知られている宇宙の万物が観察者の観察（我々全ての内にある「我在り」）に基づいているという事である。アインシュタインとドン・ファンは明らかにこの事に気づいていた。「全てのものは観察者の視点によって相対的である」とアインシュタインは言い、全ての人が「分離したリアリティを体験している」とドン・ファンは語っている。（そして全ての観察とリアリティの描写は言語で構築されているのだ。）

　より明晰に認識していくためには、言語は人間の心の中に現れるような対話の閉鎖的領域ではないと言う事を知らねばならない。人間が気づく事のできる世俗的な、スピリチュアルな、そして超越的な全ての概念を含む言語のみでなく、普遍的なマインドの人間の知覚や思索の領域を超えた概念を内包する言語もまたしかりである。それゆえ言語は多次元的とすらも言われている大変広域な語義を持っているという事を、我々は理解しなくてはならないのだ。

　我々は全てのエネルギーが情報を内包しており、従って言語がエネルギーの一局面であるという事を忘れてはならない。

　宇宙を構築しているエネルギーの構造は、観察する人間によって数学、幾何学、そして和声学へと翻訳されている。普遍的創造、数学、幾何学、そして和声学のより高次な局面を考える事は、人間のあらゆる次元の顕現のための基礎であると考えられており、我々が数学、幾何学、そして和声学と呼んでいるものは、「全てはかく在り」の現れにおける愛、光、そして生命の正常な形を創出する普遍的なマインドによる構築物である。

　我々の心が知覚するリアリティは物質的対象で構築されて表されている。しかし研究者によれば、生命力エネルギーや普遍的意識のような非物質的（形而上学的）な存在を科学的に分離したり定量化したりできない一方で、それにもかかわらず物質的リアリティの詳細で演繹的で科学的な分析が、あらゆる自然現象の明白で有益な原理もしくは知性を暗示している多量の証拠を明示する事が明らかにされている。形而上学者が普遍的マインドとして言及しているものは有益な原理である。

　形而上学において普遍的なマインドの存在は、基本的事実として扱われている。宇宙は何の知的動機もないまま死んだ物質で作られているとは信じられておらず、逆に宇宙は生きていて、自らに気づいている存在であると教えられている。宇宙という統合されたエネルギーの場は愛、生命、そして光である。宇宙は単なる偶然によって物質、星々、惑星、そして生命を失っていない。そうではなくそれは意識的に無数で多次元的リアリティを創り出す、自らを意識する存在である。

　普遍的マインドのリアリティを熟知する時、我々は心が言語と分かちがたいものであるという事を知らねばならない。意識は対話なしに成し遂げなれない。「我思う、ゆえに我在り」等々。古代ギリシアの哲学者が言葉を表わす「ロゴス」という単語を万物の創造者の記述に用いたという事は、これらの概念の理解によるのである。ロゴスの法則もしくは言葉の創造は使徒ヨハネによって認識されている。「初めに言葉在りき。言葉は神と共にありき。言葉は神なりき。」

　「神」という言葉は形而上学の研究に対して興味ある関連があるという事は驚くに値しない。神という言葉は英語ではＹに当たるヨッドというヘブライ語の文字から派生している。ヨッドという文字は炎の象徴であり、その文字の形は実際燃え上がる炎によく似ている。（もしくはあえて言えば炎の螺旋を描くボルテクスに似てはいないだろうか？）ヨッドで象徴される炎はとても重要な意味がある。それは万物を創造する原初のエネルギーを象徴し、万物の創造者の知恵と意志を運ぶ聖なる光ですべてのものを光り輝かせる神聖な火を象徴する。

　ヨッドの文字で象徴される炎は、原初の虚空を充満させる力を広げる最初の神の力の本来の力強さの象徴でもある。それは愛、光そして生命である。炎はまた舌の象徴であり、近代英語で言うｌａｎｇｕａｇｅというｌｉｎｇａｍの言語学的ルーツからきている。その最高の意味での言語は普遍的マインド、ロゴスもしくは神の創造的な力を与えられている。　ヨッドもしくはリンガムは愛、光、そして生命の三重の炎としての創造の宇宙と共鳴する、神性のまれに見る特性を提示している。究極の普遍的真理として知られている愛、光、そして生命が、神性との直接的な関係の原因である。形而上学者が普遍的真実の原理である「光は真実」を発見したのはこの気づきによる。

　さらに言えば、「光は真実」という原理は我々に、神の心から直接発してる光（エネルギー）が存在の究極真理の純粋なる根本要素として知られているという事を伝えている。それゆえに人間が「光」と共に意識的にワークし始めると、その者たちは光の言語で表されている普遍的マインドの絶対的真実によって輝き始める。偉大なる中央太陽（グレート・セントラル・サン）からの純粋なるエネルギーは、３次元的な障壁を超えて行き、我々の体のブロックや３大要素である犯罪・罪の意識・恐れという否定的な心の状態を、自然に浄化し純化する純粋な愛の高次の光の信号にって研究者を刷新させる。

　光と共に修行する時、研究者は多くの霊的思想を学ばせている学校が、エンティティは人間の心が一番興味のある事のみに光を用いているとは限らないという事を教えている事実に気づかねばならない。従ってもし我々が否定的な影響力からの保護を望むならば、我々は真のニューエイジの化身である師ジーザス・クライストへの祈りと共に我々の霊的な修行の質を高めるべきであるという事を忘れてはならない。

　エネルギーの適確化はこの修行の最重要な部分の一つである。それゆえにこの事は、それぞれの瞑想や儀式の初めにあなたは声を大にして祈り、愛の創造と永遠の生命に仕え、人間の肯定的な進化のために働くエンティティにのみ呼応したまえと祈ればよいという事を暗示している。

　お決まりの日課か少なくとも１週間の内のいくらかの時間においては、それはその昔ヨシュアもしくはエズラ・ベン・ヨセフ（ヨセフの息子ヨシュア）と呼ばれ、我々がジーザス・クライストと呼んでいる存在のリアリティについて瞑想をするという利点である。この補助として我々はジーザスの絵を用いる。しかし我々はその絵は地図のようなものであると知っておかねばならない。それらは実在の肖像に過ぎない。テュリンの経帷子に見られるようなイメージに示されているとは言え、私の知る限りジーザスがどのような顔であったかは誰も知らない。

＊（写真のキャプション）これは本当のジーザスだろうか？この絵はテュリンの経帷子にあるオリジナルなイメージの色付けされたバージョンである。これは師サイ・ババによって色付けされたものである。目撃者によれば、彼はただ白黒の写真の上に手をかざしたただけで、詳細まではっきりし目まで開いているこのような写真になった。瞳と髪は茶色である。