（０２）惑 星 の 癒 し の 実 験

爆弾と１４４,０００人の人々の平和の祈りのどちらが力強いだろう？もちろん答えは最初に起こった方である。

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１９８６年に私はカルフォルニアのロスアンゼルス近郊の山の中に住んでいた。ある日私は１通の手紙を受け取ったが、それをメイルボックスから取り出した時、私は文字どおり驚きの爆発を味わった。それはサン・ベアという名の男から来たメディスン・ホィールの儀式への招待状だった。

その時私はそれがどのようなものなのか良く分かっていなかった。私の知っている事はと言えば、この招待状を取り巻いているパワーは間違いようのないものだという事だけだった。私は止むに止まれず出席する事にした。それを運命的なものに感じるのは、私にとってたやすかった。なぜならその儀式は私の家のすぐ近くで行われる事になっていたからである。このイベントの参加料を払うのもまたたやすかった。なぜなら最近私はいく粒かの金を発見していたからだ。

メディスン・ホィールの儀式において、サン・ベアの教えの真実を見るという、人生を導いてくれるビジョンを私は受け取った。その儀式において我々は地球と我々自身を癒す事ができるのだ。

最初に述べたように、私はメディスン・ホィールの儀式に関する知識がほとんどなかった。私が知っている事と言えば、この儀式への参加が感じの良いものであり、その山の上で何が起ころうが平気であるように心の用意ができているという事だけだった。この経験を振り返ってみれば、その時は明白でなかったものの、やはり深遠な秘儀参入を経験していたのである。

そのイベントが行われるＹＭＣＡキャンプに到着した時、私はブルース・ブルー・クラウドと自称する男性に会った。ブルースはかなり大きな石を儀式のために運ぼうと頑張っていたので、私は手を貸そうと申し出た。すると彼はそのうちの２つを私に渡して、「こいつらは特別だ」と言った。我々がホイールに到着した時、革とビーズ玉で着飾ったネイティヴ・アメリカンを含む、ほんのわずかな人だけがそこに集まっていた。私たちがホイールのへりにたどり着いた時、誰かが「敬意をはらいなさい」と言ったので、少しだけそこで立ち止まった。そして皆が見守る中で、我々はそこで待っているメディスン・ピープルに我々の石を渡そうと、ホィールの中心に進んで行った。

私がホイールから出ると、横にいた何人かの人が私に、タバコの巻き方（小さな布切れをタバコとともに紐を使って巻く方法）を教えてくれた。「おまえさんの祈りをここで出してごらん」と彼らは言った。コミュニケーションの贈り物を受け取ったならば、地球を救うために何をすべきか人々が理解する助けをする事ができるのだが、と私は祈った。(これはまさに今私がやっている事である。この事を理解すると、私の背中に震えが走る。それが私が文章を書く理由であり、またあなたがそれを読む理由である。これは仕事におけるグレートスピリットの力である。）

私がその事を成している時、何が起こっているのかほとんど理解していない。それはキャンプに行くようなものだ。しかし私は我々の儀式には多大な力が存在している事を、そして我々の祈りがまだ機能していて世界を変えているのをはっきり見る事ができる。

儀式の後で我々は、そのキャンプの周りで異なった時間に行われているいくつかのワークショップを選択する事ができる。私はサン・ベア当人に会う事を選び、彼が語る事になっていた開墾地に早めに到着した。サン・ベアは到着すると近づいて来て、私の正面の右に座った。しかしその後の彼は私に「君は生き残るだろう」と言っただけで、ほとんど全く私を無視した。

サン･ベアとのメディスン･ホィールの儀式から２〜３週間後、私は「虹の世界の平和と癒しの集会」に参加した。この集会の主眼点は、７月４日の惑星の癒しの儀式だった。虹の集会は毎年違った形で、フォレスト･サービスによって続けられていた。これらの集会はサンフランシスコで最初の「ラブ・インズ」に参加した人達のグループで組織されていた。ラブ・インズは「部族の集まり」に取って代わられた。(あなたは６０年代の古典的な「部族の集まり」のポスターを見た事があるかも知れない。)それらのイベントに参加したパワフルな人達のグループは、古典的なネイティヴ･アメリカンの文学『ブラック･エルクは語る』の中で詳しく語られているような、惑星の次元上昇のビジョンを受け取っていた。このビジョンは「民族の聖なる輪」(メディスンホィール)から集い、光の虹を伝って天に昇ろうというもので、全ての部族によって人々のためにもたらされたものである。

虹の集会は１９８４年に、カリフォルニアのマードック国立森林公園にあるメディスン・レイクで開催された。この地域はマウント・シャスタから約百マイル東に位置し、またサンフランシスコとハンボルト郡にもかなり近いところにある。私がその野営地に着くとすぐに、メディスン・レイクは自分たちの先祖が葬られている土地なので、マードック・インディアン達はそこで集会が行われる事に対してあまり喜んでいないという噂を耳にした。彼らは虹の人々に、その地は自分たちの先祖たちが葬られている土地なので、山の背にある氷を越えて野営地の西へは行かないようにと警告した。マードック・インディアン達はメディスン・レイクの地は、彼らのメンバーがビジョン・クエストに行く所であり、また「試す人々」として知られている精霊の住む場所でもあるという事も教えてくれた。そのキャンプの人達はみな、彼らが強烈なメディスンの体験をするであろう事を知っていた。私はそこで死のベールを突き抜けてしまい、また永遠に変化した者としてこの生の世界に帰還するという、深刻でシャーマニックな体験をするであろうという事など、ほとんど知る由もなかった。

虹の集会の主な世界平和と癒しの儀式は７月４日に行われた。この年の儀式は高山の巨大な牧草地で開催された。夜明け前から寝ずの討論が草地で始まって、言葉はキャンプ地の周りを飛び交い、また主な儀式に参加したい者は皆、午前１０時になると黙って草地に行くのだった。沈黙は正午まで続き、その時間になると私達は我々の思考が世界の平和と癒しに焦点が合うように、絶え間なく多くのＯＭを唱えるのだった。私は１枚の写真に写っているので、あなた方はそれがどのようなものだったのか想像がつくだろう。それはとてつもなくパワフルで、その輪の中にいたおよそ三千人の人達のほとんどが、自分達の祈りの力で惑星の運命を変える事ができたと確信していたに違いないと私は信じている。その草地ではテレパシー的な相互理解が存在したように思える。全ての人が調和の内に入り、それが成された時は、核爆弾が安全にサイロの中に収まっているというイメージが、強く皆の心の中に形成された。その儀式は私の人生の中で最も素晴らしい経験の１つであり、そして全ての人が精霊に祝福されていた。我々は歴史の進路を変えている事を知っていた。それはパワフルであった。

私はこのイベントを写真に撮った数少ない人間の１人である。ほとんどの人達はこの儀式の重要さを理解しており、カメラによってそれが壊されるかも知れないという事が許しがたかった。しかしながら私は、私がこのイベントを記録して世界の人達にこの話を知らせるようにと、精霊からメッセージをもらっていたのだ。もっとも２〜３年後に私がこの本をこうして書いているという事を、当時は予想だにしなかったのだが。

かなり高揚した気分で私はそのサークルを後にしたのだが、私のキャンプに到着して、人々の内の１人が私のキャンプの前を通り過ぎると、マードック・インディアンが語っていた事が思い出され、何か予感のような奇妙な感覚が訪れてきた。それがなくなると私は、わざとではないのだがそうとは知らずに、埋葬地と氷の場所へ続く道のすぐ下にキャンプをしていた。

私への訪問者が去ると、さらに奇妙な感じがしてきた。突然インディアンが私のキャンプに現れて、交換するために並べておいた何枚かの羽を見下ろしてから私に言った。「おまえさんは気がふれている。そいつらを捨てたほうがいいぞ。そいつのお陰で混乱しているって知らないようだが、それは死の夜鳥の羽なんだぜ。」言うまでもなく私は仰天し、そして彼が立ち去るとすぐにその羽を捨て去った。

そこに座りながら私は段々とその山の精霊のエネルギーに気づき出し、そして意識の存在を感じ始めていた。そして谷越しにメディスン・マウンテンを見詰めていると、大気の中からある声が聞こえてきてこう言った。｢準備するがいい。おまえはある約束をする。」その時私は動転していて少しパラノイア的だったので、その場を逃げ出せるかどうか知ろうとしていた。羽とディパックをかき集めると私は山を登り、氷の方にのろのろと進んで行った。（私は氷を越えるつもりはなかった。）少しとろとろと登ってから、私は強いて歩くのを止め、メディスン・マウンテンを見つめた。そこに立つと私はコオロギの鳴き声に気づきはじめた。そしてもっと近づいて耳を澄ますと、それは言葉になった。「おまえは今日、自分の運命と出会う。自分の死の準備をしておくがいい。」

私は即座にパニックに陥り、山を駆け登り始めた。私は死のうとしている！私は突如メディスン・ビジョンの中で道に迷った事に気づいた。パニックになりながら小道を登ったが、そんな状態のためすぐに息が上がって立ち止まらねばならなかった。あえぎながら立っていると、コオロギが私に歌い始めた。「道を登っちゃいけない。そこには墓石が立っている。もしおまえが山の背の氷を通ったら、精霊がおまえの魂を抜き取ってしまうだろう。木々の間を抜けて行くなら、氷を越える事なく山頂に行く事ができる。おまえは日没までに山頂にいかねばならない！」

その時点で私は全く我を失っていたと言えるだろう。私は再び走りだしたがすぐに息切れしてしまい、今度は歩き始めた。数分後私は正常に立ち戻ったが、それでも磁石に引き付けられるように、木々の間を抜けてジグザグに進みながら、かなりの高さまで歩き登っていた。しかしどこに向かっているのか知らないままだった。

私は突然、木々の間に私に対して親しげに見える男に出会った。私は彼の存在によって魔法をかけられたかのように、山頂へ向かう約束を瞬時に忘れ去っていた。しばらく話をしてから、彼は私を友人に紹介するからと、下のほうにある彼のキャンプに招待した。そのキャンプは私たちが立っているすぐそばにあり、私達は数分でそこにたどり着けた。キャンプに入るとすぐに私は､その中央にある切り株に乗っている本に気が付いた。それは『虹の橋』という本だった。私がそれを開くと、それに完全に魅惑されてしまった。彼らが言うには、私はその『虹の橋』に描かれている個人的な、そして惑星のアセンションについての情報と高いレベルで共振するところがあるらしい。その瞬間私が振り返ってみると、精霊が全ての事を前もって計画していたのだと分かった。私はイニシエーションに導かれ、私の人生上の仕事を見せられていた。

この出会いの機会に付け加えられた物事の１つは、まるでその日にそこで出会う前に、キャンプの人達の何人かを知っていたかのような気がするという事である。それはとても奇妙な事だった。彼らの出現によって、人々の内の何人かが私の瞬時の家族に成る事ができるとでも言うように。

しばらくすると私にはかなり不吉に感じられる別の男がキャンプに入って来た。彼はキャンプの中のほかの者達とは違って見えた。彼は陰鬱で、ぞっとするようなグレイトフル・デッドのＴシャツを着ていた。彼は私が立っている場所の右側から近づいてきて、混乱させるようなやり方で私に話し始めた。私は彼のエネルギーが好きではなかった。その瞬間私は山頂での約束を思い出した。太陽はすぐに沈みそうであり、私は突然それを見たくなった。私はキャンプから退出しようと試みたが、この男は私をそこに止めておこうとしていた。私はいらいらしてそこを離れようとしたが、彼は私の正面に立って私の進路を塞いだ。キャンプのエネルギーが緊張し始め、私は突然この男から逃げ出して、日没を見なくてはならないという感覚に襲われた。その態度が挑戦的になってきたので、明らかに彼は私の不快感を知っていると分かった。私は再びパニックに陥り、アドレナリンが血の中を駆け巡っていた。私は彼を乱暴に押しのけると、山頂に向けて走り始めた。

山頂への道すがら、私は何度も息を整えるために立ち止まった。立ち止まる度に私は自分が通常のリアリティからどんどん離れて行く自分を感じた。下方では７月４日の大きな祝典の音が狂ったように鳴り響いている！それは私のこれまで聞いた事のない音の在り方だった。それは異教徒の祝典であり、信じがたいほど野蛮で、ドラムと歌声と反逆者の叫び声がキャンプの端から端までフルステレオで鳴り響いているのだ。音のクレッシェンドが私を絶える事なく増大し続ける熱狂へと駆り立てて行く。下から聞こえるドラムは惑星上の全ての男と女と子供の心臓の音のパワーがあるように感じられた。絶え間無く野蛮な声とドラムがクライマックスに登り詰め、強烈なエネルギーの波が私の心の中で疾走していた。私はただ地球の精霊だけが制御できる、強烈なシャーマン的な体験の中に投げ込まれていた。

私はついに山頂のパワースポットに到達した時死んだのだ。それはとても恐ろしい出来事で、ぶっ倒れてしまい、そして立ち上がる事をあきらめて気が付いた。私は死んでしまったのだ。ＡＨＨＨＨ!!!

神秘主義者／シャーマン／ヨギが、熟達を要求する超自然的なビジョンのリアリティを獲得するために経験させる死のイニシエーションは、おそらく最もパワフルなイニシエーションだろう。シャーマンは死の向こう側を見る。死者としての人生は通常のリアリティとは全く異なったものである。あなたは多次元的な性質のリアリティを理解しなくてはならない。恐れは何もない。あなたは死を見つめ、意識は終わりがない事を知る。

「死んで」からわずかの間、私はかなり気分が良くなった。私は恐怖と限界を超えていった。私は広い山の背を歩いて横切り、太陽の光を浴びる時背中をもたれされる岩を見つけだした。その岩の上に立ち、地表から太陽が消えて行くのを待ちながら、私はしばし神の事を考えた。そしてその時私はロバート・アントン・ウィルソンの『コズミック・トリガー』という本と、地球外生物の知性とシリウス人との関連についてを思い出した。私は考えた、「何がもしなのだ？」

私は自分の心を宇宙の呼び出しに送り出した。「そこにいますか、宇宙の存在、向こう側からのマスター達？私は死んでいます！そこにいますか？」広げた手のビジョンが私に訪れた。それは金白色の光でできていた。手のひらが私に向けられ、指は上方に向けられていた。その時私はテレパシー的な情報を受け取った。「我々は君に思考によって空間を移動する事ができるように望む。君がそれをできるならば、君は我々と合う用意ができている。君は純粋なエネルギーになる事を学ぶ必要がある。君は自分の肉体を非物質化する事を学ばねばならない。」

「どのようにして？」と私は尋ねた。声は答えた。「君は君から少し離れた所に意識を集中しなくてはならない。そして君が君自身を純粋なエネルギーとして空間に投影するために意志を用いねばならない。」私はその説明に従うと、その声は私の努力を元気づけてくれるかのようだった。「集中─よろしい─君はうまくやっている。どう感じるか見てごらん。さてでは君の注意を太陽に向けてごらん。｣(太陽はちょうど沈んだところだった｡)「太陽の黄金の光が見えるかね。それは君の栄養なのだ。太陽の光と１つになってみたまえ｡｣ 私が地平線の巨大な黄金の円盤を見つめている時、ドン・ファンと『テイルズ・オブ・パワー』(※）を思い出した。ドン・ファンはカスタネダに、沈み行く夕日を間接的に見る事で太陽の光を飲まねばならないと語らなかっただろうか？私は太陽を凝視し、光と正確に位置を合わせた。私は太陽の黄金のネクターを深く飲み込んだ。その日の夜は星々がとても強烈だった。

２年後の１９８８年に私はアリゾナに戻り、セドナに住むようになった。すぐに私は友人のイーグル・フェザーとジョン・アームブラスターがシュネブリー・ヒル・メディスンホイールとして知られている場所で教えている、メディスン・ホイールの儀式に参加するようになった。

このメディスン・ホイールは１９８７年のハーモニック・コンバージェンスの少し前に作られたもので、以前からセドナでずっと行われてきている、惑星を癒す儀式のための焦点でもある。そこは確かに魔法的な場所で、明らかに偉大なる精霊によって守られている。そのホイールに私が最初に入った時、雷が話しかけてきた。私はセドナの魔法のリアリティを感じ、そしてわが家に戻ってきた自分を知ったのだった。

(※）訳注：邦題『未知の次元』、カルロス・カスタネダのドン・ファンシリーズの４作目。