19870810-1 純粋さ。無知な女の愚かな愛も、その純粋さゆえに、いかなる至高の愛とも比肩しうる感動を生む。
19870810-2 すべては否定されるべきではない。誰も否定する本源的根拠を持たない。ただその肯定否定を超越した視座を持っている時だけ、その２つを自由に使いこなすことが出来る。
19870810-3 人を騙す者は、その騙す心に騙される。
19870826-1 郷に入りても味覚はなかなか郷に従えない。
19870826-2 発狂を食い止めるものは、総てに対する愛情だと思う。その愛情と名付けられる前のそれのおかげで、｢彼」は発狂へと解体していかずにすんでいる。
19870916 万華鏡
万華鏡。世界観は移り変り、見える世界は刻々移り変わる。しかし万華鏡そのものは変らない。世界そのものも変らない。万華鏡を覗く者がその中のきらめく変容の群れから逃れるには目を閉じれば良い。しかしいずれまた目を開けねばならぬというのが嫌ならば、万華鏡から目を放せば良い。そうすればそこにはもっと大きな果ても知れぬ万華鏡がぐるりと自分を取り囲んでいる事を知るだろう。でも怖がる必要はない。皆そうなのだ。かといっても元の小さな万華鏡を覗く事に逃げ込んではいけない。次は世界という万華鏡を楽しむのだ。そしていずれそれからも目を放す日がきっとやって来るに違いない。
吉祥寺百景（０７４）19870810〜19870916
|
