(19850701-1) 台風一過。晴れ上がった夏の昼下がりの公園。地面からは枯れて無用となった木々の大枝小枝がたくさん落ちていた。まるで歩くことを阻むように数多く。自然の為せるあたりまえのわざに感動してしまった。
(19850701-2) 執着。しがみつきわめくもの。ひとところに繋ぎ止めようとするもの。
(19850701-3) 言葉そのものの中には昨日も明日も今日もない。
(19850701-4) おしゃべりの多くはエネルギーの損失である。黄金だと思って言葉を用いれば、言葉は慈愛に満ちたものになるだろう。それは言ってみれば美でも醜でもなく、正でも邪でもない無色透明な舟である。その舟は乗せるものによって形を変え、輝きを変える。器に沿って形を変える水のように、また射し込む光によってその色を変える空気のように。ただ言葉の形に込められた力というものはあるに違いない。
(19850701-5) たとえ百度誓いを破った者にも来れ来れと言うグループがある。わたしもまたたとえ百度裏切られようとも来れ親しき友よと言えるようになりたいものだ。｢縁なき衆生｣とは冷たい言葉だ。いやそれは本来冷たくもないものだろうが、私はそれが執着だと言われようとも、冷たいと感じる気持ちを大切にしたい。
(19850701-6) あれも現実、これも現実。信仰・思想・哲学的思考と、今晩のおかずをどうしようかと言う心配とは同じほどの比重を持っている。
(19850701-7) 認識とは区別すること。区別とは停止するもの。
吉祥寺百景（０１８）1985019850701
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