■１■月・地球・太陽の３体問題。天から見れば地動説、地から見た天動説。
これら双方を同時に見る視座はどこに設定すれば良いのだろう。天動説的世界
観と地動説的世界観。この２者を統合した新しい天動−地動説的な新しい世界
観を、天・地・人という構造を背景にこれを「人動説」とでも称してみたい。
■２■『古事記』上つ巻の三貴子誕生の記述には、黄泉の国から戻ったイザナ
ギの命が川で左目を洗ったらアマテラスが生まれ、右目を洗ったらツクヨミが
生まれ、鼻を洗ったらスサノオが生まれたとある。この三者はそれぞれ鏡・勾
玉・剣に対応し、さらに太陽・月・地球と対応しているとも表現されている。
■３■二元論ではない３つ組問題。月と太陽、右目と左目。月読みと日読み。
日読みはカヨミからコヨミとなり「暦」となったと考えられているが、月読み
もまたツクヨミからツキヨミとなり「暦」に通じている。太陰暦と太陽暦もま
た双方を別物視するのみならず、合わせて１つの暦と見る視座が必要だろう。
■４■陰陽の太極はまた太一と表わされる。月と太陽の大きさの比率はほぼ１
：400だが、地球から月、及び太陽までの距離の比もまたほぼ１：400なので、
見た目の大きさはほぼ同じであり、それゆえに日食や月食が起こる。月と太陽
が重なって見えても、同じ平面にあるのではないことを私たちは知っている。
■５■目や耳など一対の器官は左右が交差して、それぞれ大脳半球の右脳と左
脳に逆に接続している。左右対称性のある身体各部も然りだ。しかし嗅覚を担
当する鼻は外部の穴こそ２つあるが、内部ですぐに１つとなり、左右交差する
ことなく記憶と情動部位を通って直接知覚認識に連結している。スサノオ…。
■６■地球の大地を「地」宇宙方向の天空を「天」と見た場合でも、科学的に
は月や太陽はその天にある他の惑星と同様の天体と基本的には同じものとして
扱っている。だがイメージ的には月と太陽はそれぞれ太陽極まってその中心に
生じる陰の点、太陰極まってその中心に生じる陽の点と見なすことができる。
■７■しかも一様に見えるが、太陽が全天を覆う陽天の膜と、太陰が全天を覆
う陰天の膜の二重膜とその臍のような特異点としての月と太陽である。この全
天はイメージとしては２重に配列した分子の疎水部同士が会合し、水と接する
部分には親水性部分が表れる脂質二重層の、構造的な表裏の関係にも重なる。
■８■つまり特異点としての月と太陽は細胞膜にある内と外をつなぐ開口部で
あり、そこから様々なエネルギーが流出していたり、逆に取り込まれる吸入部
であるというイメージだ。この２重の２重膜の特異点である月と太陽が重なる
ということは、天文的には月・地球・太陽が一直線になる「蝕」に相当する。
■９■地球上のどこかで日食･月食が起こる周期、つまり地球の食年（346日14
時間52分54.405秒）と地球の１年との比は19：20だ。この比はまた冥王星の公
転周期247.8年と１キンを１年とした神聖暦ツォルキン260年との比でもある。
また５芒星の１つの辺と、その外接球直径との長さの比もまた19：20である。
■10■19＋20＝39。２分割すると19.5度で正４面体の最重要角となり、３分割
するとメソアメリカの周期13となる。太陽と月が重なり日蝕になった時、それ
を月側から見る地球の位置。月食になった時、自らの影を月面に見る地球の位
置。自らの立ち居地、視座もその中に入った世界観。全体を見る第４の視座。
■11■月の自・公転周期は27.3日。地球の自転周期は基本の１日。地球の公転
周期は１年＝365.2422日。太陽の平均自転周期は
27.27日。月と地球と太陽の
関係の朔望周期は29.5日。３天体とその空間は別々の次元のものであり、太陽
空間と月空間と地球空間は連結する３重のトーラス構造とみることもできる。
■12■右目で見る世界と左目で見る世界は、２重世界として１つの世界に見て
いるのかもしれない。左右の目の盲点部分が反転して外部にあるのが、太陽と
月…。太陽と月を共に見る視座はやはり地球であり、そしてそれはまた自らの
身体でもある。見える宇宙と見えない宇宙をそのまま１つの太一と見る視座。
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■A001 月・地球・太陽の３体問題
