Ｅ-001　アルキメデス立体上の符号と錯誤

■１■プラトン立体の面と点の総数は100であり、また線の総数は90だった。アルキメデス立体の点の総数は558であり、面の総数は452だ。プラトン立体と違って面数と点数が同じでないが、面と点の総数は1010だ。そしてアルキメデス立体の線の数は全部で984であり、面・点・線の総数は全部で1994である。

■２■すでに前世紀の話になるが、実は私はちょっとしたミスから半年間ほどこのアルキメデス立体の面・点・線の総数を間違って数えていた。下の表の中に斜方切頭20・12面体という立体がある。この立体は180本の線、120個の点、そして62の面（20の正６角形、30の正方形、12の正10角形）を持っている。

■３■私はこの表を作成する時、この正10角形の面数の12を20とキーボードに打ち間違えていたのだが自覚せず、斜方切頭20・12面体は全部で62ではなく70の面を持つというデータを作ってしまっていた。そしてその結果、後に数えたアルキメデス立体の面・点・線の総数はちょうどぴったり2000となっていた。

■４■「ちょうど2000だって？なんという数と形の美しい関係だろう。しかも2000といえば来年の西暦年数ではないか！他にもこの数を数えた人はたくさんいるだろう。しかし2000年を目前に控えている1999年に数え上げるとは、なんという数的シンクロニシティなのだろう。これは一体どういう意味なのか。」



■５■半年後にホームページを作るため再確認するまでずっと、私はアルキメデス立体の面・点・線の総数は2000だと思い込んでいた。そして突然それが実は1994であると知った。その時私は失望したかというとそうではなかった。勘違いに対する自戒の思いは湧き起こったが、今度は1994に捕まったのである。

■６■忘れもしない1994年は私が数や形や音や色などの研究をまとめ始めた年だった。個人的には記念すべきターニング・ポイントの１つの年である。私は先の打ち込みのミスが単純で意味のないものとして忘れ去るよりは、単純で意味のないミスならば、なぜこのような美しい形で表われるのだろうと考えた。

■７■打ち間違えという反転した符合。個人的なシンクロニシティが他者には当人ほどのインパクトを与えないという事実を私は重々知っているつもりだ。他者には単なる間抜けでひとりよがりな出来事だ。しかしそれでも、1994年の初心を忘れることなく、様々なことを見つめていこうと再自戒したのだった。

■８■まるまる自分の失敗談と、それにも全然こりない自分事で申し訳ない。さて全部で13種類のアルキメデス立体の各データは以下の表の通りである。当時はまだ日本語に色々な訳があって不統一なので、一覧表には<切頂>を<切頭>にしていたが、ここでは英語を添えることで敢えて当時のままにしておいた。



　　　　　　　　総点数５５８＋総辺数９８４＋面数４５２＝１９９４