 
Ｃ-002 プラトン立体と完全なる数100
■１■改めてプラトン立体のデータ表を見てみよう。正４面体、正６面体、正８面体、正12面体、正20面体の面の数は名前の通りそれぞれ４,６,８,12,20で全て足すと50になる。また点の数は４,８,６,20,12でこちらも全て足すと50となる。つまり５つのプラトン立体の点数と面数の総和は100となるのである。
■２■100はヘレニズム世界では「完全な善」とされており、成就の数とも考えられている。古代ギリシアでもテトラクティスとして重要視されていた１から４までの和は10だが、100はその10倍だ。ペンターブを構成する１から４までの３乗数の和も100(＝１３＋２３＋３３＋４３＝１＋８＋27＋64)である。
■３■99以前と100には、それを捉える人間の意識の方に明確な違いがある。「妖怪百物語」でも、100話まで語ると実際に妖怪たちが現れるということを恐れ、99話で止めてお開きにするという。100点満点や100％や水の沸点の100度Ｃなど10進法を用いる私たちにとって、100はとても馴染み深い数である。
■４■人間の脳の認識において100Hzを境に99Hz以下は人類の共通部に､そして100Hz以上は音声･言語領域にと明確に２分されている(※1)。鶏の卵は100時間を超えるとその形態が急速に安定する。そして生物が太古の海から未知なる陸へ上がるドラマが発生からこの前後24時間足らずの間に再現されるのだ(※2)｡
■５■100は一般に百科事典、百獣の王、百人力のように「多数」を意味することが多い。百分率は全体を100として捉えて表したもので、100点満点とか100％とは「完全」「最高値」を意味することが多い。将棋盤の升目は９×９の81コマだが、将棋盤の縦と横の線の交点の数の方は10×10で100個である。
■６■百姓という言葉は古代中国では族長層を指す用語から天下万民を指す意味に変わった。日本では古代末期以降、多様な生業に従事する特定の身分の呼称となり、百姓＝農民とした従来の歴史観は間違いで、農民、山民、漁民、職人、商人などの広範な生業の従事者を指していたことが近年明らかになった。
■７■深草少将の熱心な求愛に、平安時代の歌人小野小町は「自分の元に百夜通ってきたらあなたの愛を受け入れよう」と答えた。それを真に受けた少将は99夜通いつめたが、いよいよ願いの叶う100日目に凍死してしまった。これは世阿弥などの能作者たちが創作した「百夜通い」と言う小野小町の伝説から。
■８■自分自身と双対の関係にある<正４面体>は、<正６面体−正８面体>の対及び<正12面体−正20面体>の対と一線を画す、よりタイトな高次の存在であると捉える考え方もある。そこで正４面体を別枠として扱い、残る４立体の面の総数を考えると全部で46になる。また面数と点数の合計を考えれば92となる。
■９■46は人間の染色体の数である。元素周期表では、原子番号46は最も安定した元素のPd：パラジウムだ。これより原子番号の小さい元素は核融合傾向が大きく、大きい元素は核分裂傾向が大きい。日本語50音図の中で現在認識できる音は、ヤ行のイとエ、ワ行のヰ・ウ・ヱを除き、ンを入れた46文字である。
■10■１〜200の素数は全部で46個ある。また地球の歴史は約46億年と考えられている。原子番号92は自然界に存在する最大の元素Ｕ：ウラニウムの原子番号だる｡92は８番目の５角数である｡ベクトル平衡体の最密パッキング球の第３層の個数は92個である｡ザルガラー＆ジョンソン立体(※3)は全部で92種ある。
■11■また正４面体を正逆（もしくは虚実）の２種と考えると、プラトン立体の面（もしくは点）の総数は54となり、面と点の総和は108となる。54は３の３乗である27の２倍であり､またこの面と点の総数は108となる｡108は仏教で言う煩悩の数だ｡四苦八苦するとは仏教用語の四苦八苦が元の表現である｡(※4)
■12■100：108は月の自転・公転周期27.3日と朔望周期29.5日の比であり、金星の公転周期225日と自転周期243日の比だ。薔薇十字会は108年ごとに社会に影響を及ぼすべく行動をとる。カンボジアのアンコールワットにある、門から続く道の両側に立つ巨石像の総数は108体だ。正５角形の内角は108度である。
(※1)角田忠信「右脳と左脳」。
(※2）三木成夫「胎児の世界」。
(※3)ザルガラー＆ジョンソン立体…プラトン立体・アルキメデス立体・アルキメデスの角柱と反角柱を除いた任意の正多角形が各頂点の周りに任意に集まる凸多面体。
(※4)四苦とは生・老・病・死であり、これに愛別離苦・怨憎会苦・求不獲苦・五陰盛苦を加えたものが八苦である。四苦と八苦を合わせて(４Ｘ９＋８Ｘ９＝)108煩悩とは数のダジャレである。
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