Ｂ-007 直交３軸の中心〜数は３から始まる

■１■文明人として生きている私たちは、自らの心身を起点として世界を捉え見る視座を有する。そしてそれは身体的・文化的に前後左右上下の直交３軸的に自らの身体を動かして生きている。そしてそれを共有空間としてデカルトの直交座標的に環世界にも投影し、自らを原点０としてその系で世界を生きる。

■２■しかし私たちはこの空間認識のカタチの中心に自らの視座を置いたとしても、私たちの身体はいくばくかの空間を占有する。その空間の中心を私たちの身体の中心もしくは重心を重ねるとするならば、身体は３軸の各方向に幅と厚みを持つ内空間を有する立体もしくは胞として捉え感じる事になるだろう。

■３■人間という種の中で身長体重その他に様々なバリエーションがあるが、人間種すべての平均値を算出するのではなく、モデルとして３軸方向に等しい幅を持つ胞もしくは立体を想定して話を進めてみよう。そのモデルはよりシンプルに考えるために円周率πを用いる球体ではなく正６面体で考えてみよう。

■４■自分自身を基本単位とするのであれば、原点に重なる１辺１の単位正６面体を世界の中心たる私と重ねてみよう。３軸直交方向を生物学的な前−後方向、社会共有的な左−右方向、そして地球上の存在として共有する重力の上−下方向の中心に、自分自身が単位体積１の正６面体として存在するのである。

■５■自分が位置だけしかない点であれば、直交する３軸によって空間は８つの象限に区分される。しかし自分自身(中心)を幅のある正６面体として想定した場合、空間はいくつの象限に区分できるだろう？正６面体の６つの面を線を超えてどこまでも伸ばしていくことによって、空間は全部で27に分割される。



■６■図示したように直交３軸の視座だと、正６面体の面に接している６つの空間、同じく線に接している12の空間、そして点に接している８つの空間が見て取れる。そして最後の１つが閉空間である正６面体の内部で、全部で27個の分断空間もしくは象限だが、これはそれぞれ点・線・面・胞に対応している。

■７■本来の直交３軸(６方向の半直線)は、この正６面体の重心及び６面の面心を貫いている。「26」は正６面体の点･線･面の和の数であり、これに胞も数に入れた「27」は言うまでもなく３の３乗である。正６面体の重心を貫く26の要素の対が13本の回転対称軸であり、26本の半直線であるとも言えるだろう。

■８■中心である自分を点とした場合の前後左右の空間は前−後、左−右、上−下の要素３つが組み合わさった８つの象限、すなわち前右上、前左上、前右下、前左下、後右上、後左上、後右下、後左下として捉えられた。つまり８と６の関係だったが、中心である自分が正６面体の場合の27象限はどうだろう。

■９■面対応の前・後・左・右・上・下の６つ、線対応の前上・前下・前右・前左・後上・後下・後右・後左・右上・右下・左上・左下、後上・後下・後右・後左の12個、そして点に対応する前右上・前左上・前右下・前左下・後右上・後左上・後右下・後左下の８つ､正６面体自身の内部の１つで27の象限だ｡

■10■自分が点であると仮定した場合、８つの象限の半分である４つの象限が見えると表現するだろう。しかし身体を有する私たちの視覚置換は中心ではなく体表(身体的には前方上部)にある。私たち人間は実際に上下左右前後が丸々見えるわけではないのは自明なので、常に１面に接する象限が見えるだろう。



■11■これは目に見える前方世界を平面に落とし込めば３×３の９象限として表現することができるだろう。そしてその場合見えない象限は見る者自身も入れれば18象限分である。見ることができるのは９／27＝１／３だけだ。しかし目に見えない空間も同型対応的に想定できれば認識することができるだろう。

■12■シンプルに自他の反転はこの１象限と残る26象限との反転に対応させることができる。またこの設定のまま人体の前後を数値に対応させるとすれば、前の９象限・中の９象限・後の９象限それぞれに、１〜９の数字を構造的にプロットすることで、各回転対称軸を３桁の数で表現することができるだろう。

■13■なお単位立方体としての自己と、その外側の26方向に無限に開いている自然として対置してきたが、(視覚的表現に限って言えば)26方向の個人の認識できる果ては、地球上で平面的に実際に直線方向に見て取れるのは平原や海上ではほぼ4.5kmだが、それは大体私たち現代人が１時間で歩く距離でもある。

■14■結論から言えば、中心の単位正６面体を基本ピースとした場合、それが３×３×３の27ピースの中心に入る正６面体となる。形のイメージはルービックキューブである。半径１と半径３の円としたモデルも魅力的(※)だが、ここでは正６面体モデルで通したい。各ピースは点・線・面・胞と対応している。

■15■なおこのモデルを３重にすると１：27：729ピースとなり、１＋27で中心の自己である１を基本の１日として、13の月の暦の４週間・28日の１ヶ月。１＋729で地球の730日＝365×２の２年間。27＋729で土星の２会合周期378×２の756日という暦の関係にも対応できることは、既に別所で何度も示した通りだ。

■16■いまここでペンターブシステムを念頭にこのカタチを４回繰り返してみてみると１→27(３^3)、→729(３1^6)→19683(３^9)→531441(３^12)となる。この複雑化したとしか見えないような「実空間27象限モデル」に何のメリットがあるのか？という疑問に少し分かり易く答えるのは、もう少し後になろう。

729=365×２−１、19683=364.5×54､531441=365×1456−１=365×364×４−１

(※)この場合はベクトル平衡体の重心と頂点の関係の１：12も取り得るので、数的整合性を保つためにも正６面体モデルで通すことにしよう。