■１■なぜ某宗教団体にはまり込んだまま自力で脱出することが非常に困難なのか、理解に苦しむという人たちも多かろう。しかしそもそも現今の社会や常識、法律や慣習その他に（単なる不満ではなく）疑問を持ち、その外部的視座に立って状況を判断することが難しいことのホロンだと捉えられはしないか。
■２■家族であることを否定することなく外部からも禍俗を見、地方公共団体の一員や国民であることを否定せずに、痴呆の酷眠から健やかに目覚める才覚のあるものもいる。しかし人間の知でなく情がそれを曇らせ、沼の中が常態であると信じて疑わず、苔むす既存の物語の中に押し込めた力積はまといつく。
■３■与えられた泥沼が自らの生きる場だと信じて疑わない者を、無理矢理健やかな光と風の場所に連れてきても、当人にはそこは地獄だと感じられるだろう。爽やかと書いてざらついたとルビを振り、自由と書いて居心地が悪いとルビを振る。もはや語義が共有できない言語空間の言葉のように交差も難しい。
■４■多くのニュースや社会の在りようが、真逆のコメントや対立する解説の作るリアリティの凸凹で、平坦だった元々の大地が見えなくなってしまって久しい。外部が不細工でグロテスクで満ちている時、宇宙や世界を真正に見る術は、己れの内側を正視してそこに照応する構造を捉え反転することだろうか。
■５■明治以降｢グレゴリオ暦｣があり続けていた日本に、暦を変えれば世界は変わると、代換案としての｢13の月の暦｣が入って来た。しかし日本人的発想からは二択ではない。どちらを使っても良いしどちらにも囚われぬマイナーな暦でも良い。自分で作った｢自分暦｣ですら良いのだと知ることになる。
■６■日本には陰謀論肯定論者と否定論者がいるのではない。理路も整然とした権力者共同謀議理論もあり、混同して一絡げに否定している者もいる。どちらも認識している者もいれば、どちらも良く知らないままの者もいる。他者の意見も拒絶せず、自らの内なる半神を見誤らない真摯で丁寧な生を生きたい。
2022.07.30
Saturday
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