#001　年初とは何か年初に思う

■１■今日はグレゴリオ暦の2015年１月１日である。こじつけの解釈は多々あるが、この
日が年初である明確な理由はない。春分・秋分、夏至・冬至ならまだしも、どれも万民が
納得する天文学的意味を持たない。それは13の月の暦の７月26日もまた同様である。「暦
」を用いる者の意識の位相共有に過ぎない。

■２■昨日は特に年の暮れ的なＴＶ番組も情報も一切見なかった。それなのに町を歩いて
いて、空気がどことなく張りつめているように感じた。もちろん大晦日であるということ
は知ってはいたが、自らはそれについ大した意味を与えずにいた。それなのに自らの意識
と無意識との界面には、非日常感が蠢いていた。

■３■大晦日の慌ただしさとか、年明け元旦の祝寿慶賀などというものは、人間社会が創
ったものであり、動植物や大自然には関係がない。そう考えている私の中にも、否定しき
れない何か仄かな感慨のようなものが滲んでいる。意識と共通無意識の界面の辺りで、時
の位相を揃えようとする力積を感じている。

■４■日本語の中にも明確に表れている通り、私の「心」は私の身体的な心臓や脳の中に
有るのではなく、私の見聞きする世界そのものと区別がつかない。身体的に把握している
私の外の世界が、パッチワークのように他者と重畳共有しているのであれば、そこでの時
間感覚や暦学的位相も繋がっているだろう。

■５■自我がそれら暦日の節目を無視して、自主独立しようとしても排除し切れない。物
凄いエネルギーを用いてそれらから離脱しようするよりも、ほとんど何もしないでも暦を
共有する人間として、鹿おどしのように自動的に切り替わり、諸事をリセットすることが
できる力積として有用に用いる方が賢明だ。

■６■論理や数理等と同様に、人間の遺産として社会的に積み上げてきたものは、意味も
なく否定するのでなく、その機能やリズムを上手く利用して生きれば良いのだ。儀式やル
ールに取り込まれて無自覚な機械人形に堕するのでなければ、他者と意識位相を揃えつつ
、川の流れのようにそれに乗って生きる。

■７■そんなこんなとややこしいことをぐるりと思い巡らせてから、この元旦という１年
365日を寿ぐ日の終わり前に、どうにか間に合わせて改めてこの言葉を口にしてみる。新
年明けましておめでとうございます。今年は例年にも増して、みなさまが健やかにありな
がら、新しい反転の年となりますように。

2015.01.01 Thursday

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