#039　土地でなくヒトを守る日本人に

■１■「国」という概念は基本的に、農耕・土着民族の心身共に土地に根付いた概念である。一方遊牧・騎馬民族の「国」の括りは、土地ではなく構成員の総体であった。遊牧民族は広範囲を移動するので、その時々の勢力範囲を把握はしていても、辺境の干渉地域で明確な国境を死守するという考えはなかった。

■２■また近隣の他の遊牧・騎馬民族同士も厳密に国境を設定するのではなく緩やかな同盟を結び、互いに小競り合いもあったがより大きな敵対勢力に対しては同盟して戦った。多くの騎馬・遊牧民族が自らを「ヒト」と称してした。日本はそれら農耕・土着民族と遊牧・騎馬民族の双方のＤＮＡを有している。

■３■それを農耕・土着民族的な母体である土地と重畳した「国」という概念だけでは括り切れないことは明白であろう。また遊牧・騎馬民族的な自由奔放だけを主張しても不要な摩擦を増大する。日本は特にその二重性がうまく機能してきた「国」であった。心の中の辺境で他者との緩やかな同盟も自覚したい。

■４■日本人として括られた私たちにも、それぞれの個人や団体や自治体の好みや傾向はある。土地に重きを置き、構成員にはそれを死守すべき義務を強要する「国」に帰属したいのか、構成員とその総体であるいわば「ヒト」に重きを置いて諸均衡をとる在りように帰属したいのか。日本人を括り返す気概とは？

2014.02.12 Wednesday

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