#083　うたた寝の上に雨が降る

■うたた寝していて夢を見た。沖縄の人たちがオスプレイ導入に反対していた。本州の人たちが原発反対を唱えていた。どちらも命を掛けた真剣なものだった。本質的に良く似たこの２者の間には不透明な薄膜があった。沖縄には原発がない。沖縄の人たちが原発反対を叫ぶようになれば、原発は止まると思った。

■本州には双方に反対を主張する人がいる。沖縄の人たちが原発反対をどんどん主張した。共感するとはこのようなことだと思った。原発が止まった。本州の人たちも沖縄の基地問題に真剣に反対した。基地問題が次々に解決した。自分の近々の問題ばかりでなく痛み入るとはこういうことだ。そこで目が覚めた。

■夢の中では分かっていた。他者の苦しみ、痛みを分かる能力を持つ者が人間であり、それができないものは人間でなくなる領域に世界はもう入っていると。解決の糸口もない様々な問題の解決には、まずすぐ隣にいる人の悲しみや喜びを真に分かちあうことから始まるという答。窓の外は雨が坦々と降っている。

■薄膜を溶かす雨と見るのか、単なる汚れを含む水滴でしかないと決めつけるのか。答は分かっている。自分次第だと。まだ身の内にうっすら残っている感覚。ただの夢だったのか？それとも現実もまた取るに足らない夢なのか？自分は沖縄の人ではなく本土の人ですらないのか？どちらでもあるのか？反転意識。

2012.06.29 Friday