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■「一緒にいわき湯本に行きませんか？」と携帯メールをくれたのはいるりひと氏だった。連休にジョナさんが車を運転して、共通の友人であるkiraku氏と草子さんのところにお邪魔しようというこの話に私は飛びついた。ここのところずっと旅から離れていたので、気分転換が必要だった私には有り難き渡りに船だったのだ。４人目の乗客は多彩な才能を持つandyこと大野クンに決まった。

■首都高経由で深夜の常磐高速道を北進したら翌日の午前２時前には目的のkiraku＆草子邸に到着してしまった。ジョナさんの運転といるりひと氏のナビのおかげだが、私の意識空間の中では東京といわき湯本の距離がぐっと近づいてしまった。挨拶もそこそこに、気兼ねせずに良いアットホームな飲み食いしゃべりの場が展開された。寝ずに待ってくれていた２人の人柄に感謝したい。

■後で気がついたのだが、新宿西口から出発したのは23日23時であり、その前日に私は『ナンバー23』という映画をDVDで観ていた。目的地のkiraku氏は23という数について様々な考察をしていた。別に特別視し過ぎるつもりは毛頭ないが、「いわしの頭」についての連想討論ではいわし＝184が、23の倍の倍の倍であると気づいたりと、今回の旅は不思議な数23がまといついていたようだ。

　　　

■翌日の昼には、やはり学問的に集中する日々が続いていた甲田妖怪博士が「楽しいことの抜け駆けは許さない」とばかりに高速バスを使って、そして最近手にしたマンガ原作の印税収入で自分の本を作ろうとしている猫ジャマ氏がＪＲ特急ひたちに乗っていわき湯本に参集した。共同浴場「さはこの湯」に浸かり、散歩で湯の町情緒を楽しんでから、いよいよ鍋大会の始まりである。

■いらぬ気遣いを一切させずに寛がせてくれるkiraku氏と草子さんの奇跡的なホスピタリティの懐で賑やかに鍋を囲むのは、車で来たいるりひと氏・ジョナさん・大野クン・私、遅れて来た甲田妖怪博士と猫ジャマ氏の総勢８人である。多人数で突付く鍋と酒は美味い。気兼ねなく交差する酒飲み話も面白い。マイペースで疲れたら続きの間の布団の中に倒れこめるという休息場もありだ。

■大いに飲んで食べて話をして、ふと時計を見るとまだ30分も経っていないことが続く。時が明らかにゆっくりと進んでいる。朝方目を覚まして時計を見ると、まだ起きるには１時間ほどあると気づいてまた眠るが、一眠りしてまた時計を見るとまだ数分も立っていないということを繰り返すことがあるがそれに似た感覚だ。しかし今回は自分１人ではなく全員がその時間感覚の中にいた。

　　　

■火曜の朝から用事があるというのいるりひと氏・ジョナさん・大野クンの３人は、来た時のように深夜の高速道路を帰っていった。運転するジョナさんはアルコールを抜き、十分眠ってからの出発だから問題はないだろう。残った者は猫ジャマ氏の文を草子さんの版画が飾る自費出版本の編集会議モードも混入した夜っ引き話を続けた。寝入りばなの甲田氏たちの怖い話も聞きそびれた。

■面子が面子だけに、ちょっとした次元幾何学研究会例会的な集まりだった。実際に会の方は現在東京での活動を休止中であり、例会といってもいつも集まって飲み食い騒ぎするだけの情報交換の場なので、個人的には確かにそう謳ってもいいかもしれない。この後は、甲田妖怪博士と一緒に福島県を温泉と怪異の旅となり、「心配無用、万事うまく行く」を味わうことになるのである。

（on 2081123～25 in IWAKIYUMOTO）

人生丸ごと湯治日記（１７０） 2008.12.01 Monday