《２》みどり湖温泉と17

　みどり湖温泉・田川浦鉱泉旅館。みどり湖をぐるりと回って細い道を少し行くと、ひっそりと鄙びた感じの旅館があった。車をすぐそばに乗り付けて、宿の旅館のフロントに行き、入浴だけさせてもらえるかと尋ねると、その返事はあまり芳しくない様子。泊まり客じゃないといけないのだろうかと思っていると、先程の雷を恐れて、風呂場の電気を全部切ってしまったのだそうだ。すると奥の方から若い男性が出て来て、いいですよ、もう大丈夫でしょうと言ってくれた。

　平日の昼間でしかもこんな嵐の直後だから、男風呂はまたしても私だけだった。この温泉は鉱泉だから、温め直しているのかもしれない。天井と窓にはびっしり水滴が付いていた。湯が湯船に注がれている音が、周囲の静寂を一層引き立てている。また外には雨が落ちて来たようだ。私はいつしかひとり湯船に浸かり直しながら、今度は先程の１５３で出て来た17について、思いを巡らしていた。

◆マヤの世界観をベースにした時間のゲーム「ドリームスペル」における、17番目の太陽の紋章はキーワードがシンクロニシティである｢赤い地球」だ。(右図）

◆原子番号17:Cl塩素。原子番号11:Naナトリウムとイオン結合してNaCl塩化ナトリウムとなる。塩化ナトリウムの原子番号の和は28で、マヤの13の月のひと月の日数に等しい。

◆聖徳太子は西暦604年､推古天皇の治世下､群臣に訓戒を垂下した17条の憲法を制定した。これは儒教と仏教の思想を調和して､人ののっとるべき道徳を示したものだ。

◆17文字とは<５−７−５>の俳句の異名である。 31文字の和歌と共に、日本の詩歌の本質に付随する５−７調および７−５調を体現化している。

◆２と３の交差した関係は、２の３乗と３の２乗の和が17であるところにも見て取れる(１)。
また17は、連続した４つの素数の和となる、唯一の素数でもある(２）。
２^３＋３^２＝８＋９＝17･････(１)　　　２＋３＋５＋７＝17 ･････(２）　

◆17は平面結晶群の数。グレナダのアルハンブラ宮殿の装飾にそのすべてが見れる。非常に細かく分類すれば91個の群になるが、これに当てはまらない、同じ図形による、移動ではない、平面の敷き詰めが存在する｡

◆冥王星と地球の質量比は<0.0017:1>である。また地球の軌道離心率は<0.017>である。

◆また黄道面に対する冥王星の軌道傾斜角は17.1度である｡ついでに言えばガウスの重力定数ｋは<0.01720209895>。海王星と地球の質量比は17.204対１である。

◆正17角形を定規とコンパスだけで作図できることを、ガウスは18歳の時に発見した。

◆４次魔方陣の中心に対して、対の位置にある全ての２数の和(対和)は、それぞれみな17である。また同様に13次方陣の対和は全て１７０である。

◆17の次の数18の３角数は171である。つまり１から18までの数の総和は<170+1>である。

◆黒鉛筆のシンの硬さの種類は、９ＨからＨまでの９種、Ｆ、ＨＢ、そしてＢから６Ｂまでの17種類。また記号のＨはhard、Ｆはfirmもしくはfine、そしてＢはblackの略である。

◆飛脚屋のことを17屋と表すが、これは17夜を「立ち待ち月」というが、「たちまち着く」ともじった江戸時代の言葉。

　そんなふうに取り留めもなく思い巡らしていると、外からアサリちゃんの声がする。人間の鼓膜面での音圧というのは、中耳のアブミ骨から内耳に送り出す時に、面積による昇圧50／３すなわちだいたい17倍に補強されて伝えられるわけだが、そんな事とはあまり関係のない、時間を忘れての長風呂を諌めるような声だった。「もうみんな出て待っているよーっ。」

《３》ムラさん宅到着

　塩尻から再び長野自動車道に乗った私たちは松本を過ぎ、豊科インターを下りてからさらに高瀬川沿いに北上し、池田町の陸郷に着いたのは既に暗くなってからだった。来てくれる人はみんなウェルカムと言ってくれる、ムラさん宅の玄関に入ると、４月上旬に１度お邪魔しただけなのに、なにかとても懐かしい感じがした。 ここには子供が現在４人いる。長女のマキちゃんはもう小学校に通うお姉さんで、昨日がハッピーバースデーだった。長男のゲンは現在５歳。次男のヒジリは３歳だけれど、この２人は現在ライバル関係にあるようだ。そして次女のミコトちゃんはまだ赤ちゃんで、ゆりかごの中で眠っている。

　ウェルカムのままのゴールデンウィークには、ここに23人もの来客があったそうだが、一体どのようにさばいたのだろう？ムラさんもとても凄いけど、奥さんのメエミさんも本当に偉いと改めて感じてしまう。
　アサリちゃんもヒロミちゃんもお母さんも、みんな台所に立って調理を始めたりしているけれど、私は何をしたらいいのか分からず、例によって子供たちと遊ぶ事にした。それにしてもここの子供達は本当に人なつっこいし、素直だ。

　食事をして一服していると、主のムラさんがどこぞでの酒盛りからかなり酒を聞こし召して帰って来た。私たちとは「いつ来たのですか」とか、二言三言会話しただけで、そのまま広間に横たわり眠ってしまった。子供達がそれに当然という感じで布団をかけてあげる。そんな彼らが私は好きだから、子供の就寝時間までの間、こちらも体力勝負というくらい一緒に遊んであげた。いや、遊んでもらっていたのかも知れない。
　明日はリーコ＆ベノアの新居を見物に行く予定だ。その夜は車の移動で疲れたのか、それとも既に体が田舎モードになっているのか、10時半過ぎに床に入ったらすぐに眠りに落ちてしまった。