ほとんど手もつけられずに残飯として捨て去られるパーティーの料理や、逆に自らの身体の健康を顧みない暴飲暴食をする人たち。自分たちの金を払ったのだから何をどうしても良いではないかと平然と言い放つ人もいる。
　映画やドラマの中で見た、食前の敬虔な祈りをするキリスト教徒を子供の頃は理解できなかった。しかし今は食べ物を前にして時々思う。自分はこれを食べるだけの価値がある者なのか？この食に見合うだけの事を成す覚悟はあるのだろうか？３年程前に福岡の蕎麦屋に入り、その割り箸を入れる紙の袋に書いてあった文字を見てはっとした記憶がある。今日電話でそのような話をしたら、地謡舞のタマエちゃんがそれは禅宗の食前食後の偈だよと教えてくれた。

この食（かて）の来るところを思い
己が技の多きと少なきを測り
悟りの道を成しとげんがために
今この食を受けん
　 （いただきます）

衆生馳走の賜物今すでに受く
願わくばこの力をいたずらに消す事なからん
　 （ごちそうさま）

　パックに入った肉や野菜を買って来て、調理して食べ、食べ残しをゴミとして捨てる。食事とはその前後で閉じてしまっているものなのだろうか。それらがどのように育てられ運ばれて来たものなのか、またゴミ収集車が来て夢の島などに運ぶゴミの事や、洗剤や油などの生活排水が環境に及ぼす影響などを、私たちひとりひとりはもっと考える事ができるはずだ。そうすればもっと食べ物やそれに関係している人たちへの感謝が感じられ、環境と自分が綿密につながっている事をイメージできるのではないだろうか。

　ところでギャルリ・ウィで知り合ったＦＵＫＩちゃんも随分長いこと食前の祈りをする。彼女はインドに長期間行っていた事があり、毎朝30分以上瞑想をし、食事も自主的に食べる物と食べない物を決めている。彼女は中国語と英語が堪能で、実際に海外で仕事をしていた経験もある、なかなかのやり手だ。
　 それにしてもインド帰りの人達はなぜかほとんど皆レゲエが好きだ。彼女も音楽に関してはあれこれ詳しいのだが、例に漏れずレゲエ大好き人種だった。今日、私は高円寺のライヴハウスでやるレゲエのコンサートに誘われて、藤本君と共にのこのこと出掛けていったのだ。

　レゲエ好きのＯ氏の影響で私もジャマイカの「ザ・ロッカーズ」というビデオなどを見たりしていて、そこそこ免疫があるつもりだった。これまで私は、食事は好き嫌いなしで何でも美味しく食べていた。あまり好きではない音楽でも、まさか気持ちが悪くて戻すほどになるとは思いもよらなかった。
　おそらく数に関してあれこれ考えていた私の脳波と、私にとっては思考停止を強要するようなレゲエ特有の声の質とが、繰り返し不協和音を生じていたのだろう。それと食に関しての体調異変があいまっての出来事だと思うが、私は脂汗をかき、不快感で全身がマヒしそうになってしまった。昨日の満月が少しは関係しているのだろうか。

　もちろんレゲエをする人も聞く人も嫌いではない。しかし私は現在それとは波長が合わないようだ。ジャー（神）に出会ったらもうそれ以上あれこれ考える事をやめて、全てをジャーに委ねて楽しく生きよう、全ては上手くいくはずだという考え方も決して悪くはない。しかし、神とタメはって宇宙や人間の事を話し合おうじゃないか、もし曖昧で分かりにくかったらそんな神を相手にせず、神の神と問題を討論したいものだ、という他者から見れば傲慢に思われるかもしれない私の姿勢とは相いれないところがあるようだ。
　口に入れる食べものと同様、耳に入れる音楽に関してももっと慎重にならなければいけない。実際レゲエの中にも好ましい曲はあるのだから。

　ところで私が気持ち悪くなりながらもコンサート中ずっと考えていたのは、聖数５の２乗の25についてだった。25は一桁の自然数のうちの奇数の和である（１）。また25は３の２乗と４の２乗の和でもある（２）。なお２乗という事で見れば、25はまた12の２乗と13の２乗の差でもある（３）。この事はエジプトの３角形もしくは辺長比が３対４対５の直角３角形、及び５対12対13の直角３角形をピタゴラスの定理で考えれば明らかである。さらに言えば１〜100までの素数の個数は25である（４）。魔方陣で言えば、５次方陣のユニット数であり、７次方陣の中心数でもある。（５）はその１例として、占星術関係では金星の印章とも言われている７次魔方陣である。

　　　（１）25＝１＋３＋５＋７＋９
　　　（２）25＝５^２＝３^２＋４^２
　　　（３）25＝13^２−12^２

　　　（４）100までの素数25個
　　　　　<２､３､５､７､11､13､17､19､23､29､31､37､41､43､47､53､59､61､67､71､73､79､83､89､87>

　　　（５）７次魔方陣の１例

１ 10 48 39 47 26 ４ 12 37 14 ９ 36 29 38 45 16 ６ 32 ７ 27 42 28 17 30 25 20 33 22 ８ 40 43 11 44 24 ５ 35 21 31 41 19 13 15 46 34 ３ 18 ２ 23 49

ＸＸ

定和　 175 総和　1225 対和　 504 対和　 100 中心数　25

　1994年７月17日から22日の間に次々と木星に衝突した彗星シューメーカー・レビー９の数は最終的に25個だった。そういえばマヤの暦による今日のキン・ナンバーは253（赤い律動の空歩く人）だが、253（＝11×23）は22の３角数である。その253は17の３角数153と100の和だ。
　５の３乗は１２５、11の３乗は1331だから、100×1331＋125を考えてみると、それは133225となる。ところで133225は365の２乗でもある。

　　　　　10^２×11^３＋５^３＝133225＝365^２

　ここで51という数を考えてみる。51の２乗は2601＝2600＋１だが、51の３乗は132651で、133225に近似している。これに１を足した数132652を２桁ごとに区切ると、13Ｘ２＝26、26Ｘ２＝52と倍々になっている。この51の２／３乗を求めてみると、364(364.21128499…)の近似値が得られる。
　また51の３／２乗を求めてみると、13.75243135…で137Ｘ10の近似値になり、なお51の１／３乗つまり３乗根は3.708429769…で､こちらは37×10の近似値となる。そこで51を介して365(364)と137と37と11の関係を考えようとしたのだが、力尽きてしまったのだ。

　私はコンサートや講演などの会場で、そこでの内容とは別に自分の思考をどんどん練り上げて行くと、いい考えが沸き上がり上手くまとめられるという性向がある。しかし今日の私はコンサートの最中なのにそれ以上考えを進める事ができず、まさにぶっ倒れないようにする努力にエネルギーを消耗してしまった。今日は藤本君とＦＵＫＩちゃんがせっかくレゲエで気持ち良くノれていたのに、私はひとり地獄の苦しみを味わって迷惑をかけてしまった。憔悴して自由が丘の藤本君のところまで辿りつくと、私は倒れ込むようにして眠りについた。　 しかしこれはアルコールのせいではない。私は不快から戻しかねないほど酔うことがないのだから。レゲエ音楽と思考とは相性が良くないのだろうか。後日体調の良い時に、これに懲りずにまたトライしてみる事にしよう。それにしても今の私にとって、音楽と食べものとはどちらも似ていると感じられる。

10(惑星)の月13日／ＫＩＮ２５３　　赤い律動の空歩く人／Ｇ暦４月16日　or 19950416