独自の数理研究家であるインナーさんや､ユニークな占星術師であるソラリス９さん､そして決して気取らない自然薬草の大家である大村先生なども参加してくれていたので、ハーフタイムには挨拶がてら久しぶりに話をする事ができた。後半は参加者それぞれが自分の銀河の署名を出して用意したシートに書き込み、自分と他の人との様々な関係性を、実際に面と向かって体感してもらった。
　音程ではそれぞれ［１，５，９，13］［２，６，10］［３，７，11］［４，８，12］というグループの中同士は協和音のように響き合ってノリが合うとか、色で言えば<赤>が物事を始め、<白>がそれを広め、<青>がまとめ、<黄色>が完成させて次の赤に送るというような事を、概念だけではなく実際に生きている人間というエネルギーの流れにおいて、どのような力として感じるかをその場で知って欲しかったのだ。

　このドリームスペルというものをどのように解釈し、４次元のゲームをどのようなリアリティと重ね合わせて生きるかという事は、最終的には各自に委ねられている。私は次のようにも解釈できると話した。
　ドリームスペルはこの３次元の人間が、２次元であるモニターＴＶの上に様々なコンピューターゲームを走らせて、その中にリアリティを見いだして遊ぶように、４次元的な発想からこの３次元の空間そのものをゲームの場とし、この身をユニークで不可欠なキャラクターとして扱い､自らこのゲームに内在するシナリオを解読するという事｡そして2013年までに地球を時間船地球号として、銀河と同期する新たな次元へ船出させるという事、などなど。
　ドリームスペルはこれらを共通目的として、各自が意識的にいくつかのリアリティを重ねながら生きてみる事のできるひとつのメタ・ゲームである。もちろんこの世界観だけに取り込まれて狂信的になるのは、ゲームプレーヤーとして超へたくその部類に入るということは言うまでもないだろう。

　ドリームスペルのテキスト設定によれば、キャストは実験的な３次元で迷子になった時間旅行者である私たち。迷子になった理由は、「時間ウィルス」の蔓延によって次元の宇宙服（一般的な意味での肉体）に遺伝的な欠陥を生じてしまい記憶喪失症が多発した事と、「時間の盗賊」による12：60の比のビーム放射のため。それにより我々は現在３次元と４次元とのつながりを見失ってしまっているのだ。
　この失われた記憶を回復させる銀河の署名同士の関係はたくさんあるが、例えば「地球家族」というチームを見てみよう。私を再び例に出せば、20(黄色い太陽)は５(赤い蛇)、10(白い犬)、15(青い鷲)と地球家族である。この４人もしくは４つの力が一つの事を協力して成し遂げようとすれば、ひとりひとりが４人集まった以上の有機体的な力と能力が出てうまく行くはずだ。なぜならこの地球に生まれ落ちてくる前に、どこか別の次元で地球を眺めながら、時間と空間を同期させてあそこに行て、一緒に何か仕事をしようと約束しあっていたのだから。
　だが地上に生まれ落ちてしまえば、赤ん坊の頃はまだ確かだった今生の目的や決意などの記憶は、人間として社会に適合していくための努力や教育によって失われていってしまう。人生の曲がり角などで、ふとその懐かしい記憶の断片にひっかかりもするが、それが何なのか知るよしもない。しかし成長してからまた宇宙家族と再開することによって、記憶と目的を回復することになる云々････という具合｡

　ではそのいっしょにやろうと取り決めた約束とは何だろう。地球の環境問題の改善に努力するのだろうか、新しい世界観の創出作業をするのだろうか、それともただ穏やかに日々を過ごして人々にああこんな生き方もあるのかと安心させるのだろうか。いやそれが何かということは、他者が預言者よろしく「あなたの人生の本当の意味と目的は・・・」などと教えてくれるものでは決してないだろう。
　自らの内側からその記憶を復活させることによってのみ、なぜここにいるのか、自分は何者か、どこへ向かっているのか、その目的と意味は何か、などという重要極まりない個人的真実を想起できるのだ。ただ地球家族の目的がみんなそろって人々を苦しめたり、金儲けのためのマネーゲームに奔走したりするようなことではないように祈りたい気はするのだが。

　別にゲームであるから、狂信的に命とかアイデンティティをかけてのめり込む必要もないし、つまらなかったら別のリアリティに自らを重ねればそれですむ。そもそも自由意志がなければゲームは続けられない。ドグマや強制や自己放棄からは最も遠いところのゲームなのから。そして現在の自分の環境や周囲の状況もまた、ひとつのゲームなのだという視座が獲得できたらしめたものだ。
　自分の食べている料理が美味しくて体にもいいと信じているからといって、他人にもそれを強制して食べさせる事はできない。相手がお腹が減っていないかもしれないし、体にあまりよくないとは知りつつもジャンクフードの方が好きであるかもしれない。
　そして本当のところ、自分の味覚や体にいいという信念も100パーセント世界に通用すると思い込んでしまってはおしまいなのだから。「健康のためなら死んでもいい」というパラドクスをギャグとして用いるのであれば良いが、言動一致と称 して死んでしまっては笑う方も笑えない。

　マヤの言葉で「イン・ラケチ」というのがある。ホゼ・アグエイアスの英訳によれば、I am another yourself．だ。「私はもう一人のあなた自身です｡」この言葉は「世界は私の鏡である」とか「現実と思っているのは実は自分の世界の知り方そのものに過ぎない」などという、自分を中心に据えた認識論的な発想をもうひとつ反転してあり、とても優しい感じがする。ドリームスペルキットが金銭で売り買いされたのではなく、ギフトの精神から無償で配られたというのも分かる気がする。それにしても分からないのは私の金銭感覚の欠如という紛れもない個人的現実である。こちらの方は地球家族がそろわない限り、永遠のなぞとして続くだろう。

　　 ５(倍音)の月26日／ＫＩＮ１２６　　白い太陽の世界の橋渡し／Ｇ暦12月10日 　or 19941210