グレゴリオ暦12月10日。午前８時31分東京駅発、ひかり105号に乗車。今日は虹色蛙さんと共に名古屋に出向き、マヤの知的体系を元にした３次元ロールプレイングゲーム『ドリームスペル』のセミナーをする日だ。ドリームスペラーたちはそのような集まりを、「銀河幼稚園」を開くという言い方をしている。
　朝８時に東京駅の京葉線乗り場近くでChokin'氏と待ち合わせて､彼が製作したドリームスペルの13の音程(注:１）と20の紋章を歯車で組み合わせた、説明用のヴィジュアル大道具を手渡された。本来なら彼と蛙さんがコンビでレクチャーする事になっていたのだが、諸般の都合からそれが叶わず、数少ないドリームスペラーの末席を濁している私にお鉢が回って来たのだった。

(注：１）現在ではこの「ＴＯＮＥ」の日本語訳を、「音」という翻訳に修正して統一しているらしい。しかし私はどの団体にも所属していないし、混乱をさけて便宜を図るためとはいえ、唯一の訳だけを用いるという立場をよしとはしない視座をとるので、あえてここでも「音程」として表現している。私は「音程」が誤訳ではないことは、音楽の理論上からも音響学的比喩からも明らかだと考えている。

　虹色蛙さんは新宿に居を構えているとあるデザイン会社でマックを操る、ちょっとオタクなドリームスペラーだ。車内販売の飲み物と、彼女の作ってきたおにぎりで腹を満たした後、今日の打ち合わせをするつもりだったが、２人共実はかなり睡眠不足である事が判明した。蛙さんは今日の未明までテンションを高めて資料作りをしていたと言うし、私もギャラリー・ウィのメンバーと昨日は銀座で『ピアノレッスン』という映画を見て、そのまま夜遅くまで井の頭で話をしていたのだ。
　そんなわけで、レクチャーをする時に疲れていて、思うように声が出ない状態であってはいけないからという格好の理由を採用して、わずか２時間弱の間だが私たちはその使命感を枕にシートで爆睡した。

　名古屋に着くと、地下街の喫茶店でコーヒーを飲んで目を覚まして打ち合わせをする。理論的な所は私がカバーし、現実的に敷延するのは蛙さんに任せるという役割分担。私が難しすぎる話で暴走しそうになったら、蛙さんがツッコミを入れて話のモードを現実に引き戻す。逆に蛙さんの話が世俗的に過ぎてタガが外れそうになったら、私がチェックを入れて堅目の話に持っていくという、ボケとツッコミのかけあい漫才ノリで行く事になった。
　そしてもう一人、滋賀の琵琶湖のほとりから、レクチャー役兼ご意見番としてチョコボさんが駆けつけてくれる事になっていた。彼はパソコン通信のドリームスペルの部屋で頑張っている人で、自分のマシンを使ってこつこつとドリームスペルの日本語版や13の月の暦を作っている。 これが後にオフィシャル版のひとつになるのだが、ドリームスペルのギフトの精神と重なるその彼の無償の作業は尊敬に値する。

　名古屋では地下鉄を乗りこなせないといっぱしではないと言われているのかどうか知らないが、慣れないとここのサブウェイによる移動は結構分かりづらい。会場は公園の中にある立派な建物の４階だった。セミナーの時間は午後１時から４時までとなっていたが、始まりの時間までにはどうやら参加者で部屋が一杯になった。
　最初は「レ、レ、レクチャーなんかするのは初めてだからプ、プ、プレッシャーが･･･｡」などと言っていた虹色蛙さんも、性根を据えて正面の机に着いた。私はドリスペの創始者であり、マヤ文明を研究する事40有余年のプロフェッサー・ドクター、ホゼ・アグエィアスの紹介や、日本への紹介者である高橋トール君の事を話してから、蛙さんに話をバトンタッチした。

　彼女は最初はとつとつと、そして途中からはノッてきて、13の音程と20の紋章からなるツォルキンの構造の事や、だれでも銀河の署名として魂の名前を持っているという事、そしてそれぞれに類似キン、神秘キン、反対キン、導く力、波動魔法期があるという事などを話し続けた。チョコボさんも資料を示したり、大道具を回したりといろいろと立ち働いてくれた。

　ところで渋谷区広尾のところ（kin:011）でも少し触れたが、13の音程と20の紋章とは次のようなものだ。音程はマヤの数表記法でドットが１、バーが５を表す。７ならバー１本と２ドット、10ならバー２本という具合にである。ところで渋谷区広尾のところ（kin:011）では20０の紋章を示したので、ここでは13の音程を図示しておこう。

13　の　銀　河　の　音　程
	Mayan name		English	Japanise
１	hun	フン	Magnetic	磁気の
２	ka	カ	Lunar	太陰の
３	ox	オシュ	Electrc	電気の
４	kan	カン	Self-existing	自存の
５	ho	ホ	Overtone	倍音の
６	wak	ワク	Rythmic	律動の
７	wuk	ワウク	Resonant	共振の
８	waxak	ワシャク	Galactic	銀河の
９	bolon	ボロン	Solar	太陽の
１０	lahun	ラフン	Planetary	惑星の
１１	buluk	ブルク	Spectral	分光の
１２	lahka	ラフカ	Crystal	水晶の
１３	ox-lahun	オシュ・ラフン	Cosmic	宇宙の

　この13の音程と20の紋章の組み合わせで260キンのツォルキン､もしくは光のマトリクスが構成されている。その人の生年月日の名前が､その人の銀河の署名(GALACTIC SIGNATUER)となるのだ。例えば私のそれはKIN140で<黄色い惑星の太陽>である、という具合に。

(注：２）なお音程の２は「月の」と、また音程１１は「スペクトルの」と最初から訳されているが、これもたったひとつのオフィシャルだけでなく、少なくとも２つの視座がなければ物事は立体的に見ることが難しいという、私個人の世界観からくる確信犯的なものだから、混乱をきたすのであればそれは望ましい結果である。

　　 ５(倍音)の月26日／ＫＩＮ１２６　　白い太陽の世界の橋渡し／Ｇ暦12月10日 　or 19941210